第109話夜食

ローズはめぼしい物を集めると


「バルト、おじさんと待っててくれる?サッと作っちゃうから」


バルトを肩から下ろすとバルトがおじさんから少し離れた椅子に座る。


するとおじさんが近づいてきた…


「変わった子をペットにしてるね?これは…猫かい?」


手を出そうとするとバルトがシャー!と牙を剥き出し爪を立てた!


「こら!バルト!」


ローズが注意するとバルトはフンッと横を向いて爪を引っ込めた。


「靡かない猫も可愛いね」


おじさんが構わずバルトを撫でた…しかしその優しいタッチにバルトは渋々触る事を許してやる。


おじさんとバルトが戯れている間にローズはパッパッとサンドイッチを作った。


「はい、出来ましたよ」


ローズが二人の前にサンドイッチが乗ったお皿を置くと


「お!美味そうだな!」


早速とおじさんが手を伸ばす。


ローズはピシッとおじさんの手を叩くと


「駄目ですよ!まずは手を洗ってください、バルトを撫でていましたよね?」


「す、すまない、そうだったね」


おじさんは嬉しそうに笑いながら手を洗いに行くと


「おい…あいつ怒られて嬉しそうにしてるぞ」


バルトがコソッとローズに話しかける。


「サンドイッチが嬉しいんじゃない?バルトも食べる?」


ローズが聞くと


「俺は…やめておく。また今度作ってくれ」


「うん、了解!」


ローズはおじさんが戻ってくるのを待っていると


「あれ?どうしたんだい、食べないのかい?」


手をつけないでいるローズに声をかけると向かえの席にすわった。


「どうせ食べるなら一緒に食べましょう!いただきます」


ローズが手を合わせると


「いただきます」


おじさんも真似して手を合わせた。


「どうぞ召し上がれ」


ニコッと笑ってサンドイッチを差し出す。


おじさんが手に取るとパクッと一口で口に放り込んだ。


「うん?野菜が入ってる?」


おじさんが顔をしかめると


「お野菜嫌いですか?」


「あんまり得意じゃないんだ」


そう言いながら野菜を取り出そうとすると


「何してるんですか!ちゃんと野菜も食べないと体に良くないですよ!」


「わかってるけどこれって苦くない?」


子供みたいなことを言い出す。


「もう!ならちょっと待ってください」


ローズは厨房である物を探すと…サッサっと何かを混ぜている。


そのまま持ってくると


「これをつけて見てください。少しは食べやすくなるかと…」


ローズはマヨネーズを作って持ってきてサンドイッチの間につけてあげた。


「おっ!なんか甘く感じる!」


「マヨネーズとお野菜は相性いいですよね!」


ローズも真似して少しかける。


「僕ももう少し…」


「あんまりつけすぎは良くないですよ。何事も適量が美味しいんです!」


「そういうものかな?」


「そういうものです!」


二人であっという間にサンドイッチを平らげると


「あー美味しかった!久しぶりにゆっくり人と食べたよ」


ご馳走様とローズに笑顔︎浮かべると


「よかったら食後のお茶も飲みませんか?」


ローズが素早くお茶の準備を始める。


「頂こう」


ローズは二人分のお茶を用意するとおじさんの前に置く。


「リラックス効果の高いカモミールティーにしてみました。これを飲んでゆっくり休んで下さいね」


「ありがとう…」


おじさんがお茶を飲むと…


「うん…美味しい…」


ホッと息をつく。


その様子に嬉しそうに見ると自分もお茶を飲む…


お腹もいっぱいになりお茶で体が温まると眠気が戻ってくる。


そんなローズの様子に…


「すっかりご馳走になってしまったね。ありがとう」


おじさんが席を立つと


「はい、またご一緒出来たらいいですね」


おじさんは嬉しそうに笑うと


「たまにこの時間ならここに来てることがあるから…でも君も女の子だからあまり出歩かないようにね」


「はい…」


ローズは返事を返すとサッと使ったお皿とコップを洗う。


「おやすみなさい」


「おやすみ」


おじさんと別れて部屋へと戻って行った。

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