第86話恐怖

「そうか…ならお前らを信じてそいつの処分は頼んだんだ…」


「お任せ下さい、私が直々に尋問致しますよ…」


スチュアートは寝ている男を掴むとロープを取り出して簀巻き状態にする。


「このまま連れていきますので…ローズ様は後でお話がありますので今度こそ部屋で待っていて貰えますね」


「は、はい!すぐに!今すぐ戻ります!」


ローズがスチュアートに敬礼をすると


「はい、よろしい。バルトさん、しっかりとローズ様を見ていて下さいね」


「わかった…スチュアート…助かった…」


「!…いいえ」


スチュアートは名前を呼ばれて驚いた顔を見せるとにっこりと微笑んだ…


「で、では!私向こうに馬を置いてきてしまったので…」


ローズがスチュアートに言うと


「もう近くに不審な気配が無いので大丈夫だと思いますが気をつけて下さいね…」


スチュアートが心配そうにローズを見ると


「はい、心配かけてすみませんでした!気をつけてまっすぐに帰ります!」


「では私もこの荷物を運んでおきますね」


そう言ってロープをグイッと引っ張ると…ロープの先にはハンター達が仲良く簀巻き状態になっていた…


「そ、その人達どうやって運ぶんですか?」


ローズが聞くと


「えっ?このまま引いて行きますよ」


スチュアートが当たり前の様に言うと


「ひっ!」


ハンターの一人が声を漏らす…


「おや?一人気がついたようですね、気を失っていた方が楽だったものを…ご愁傷さまです」


スチュアートが笑うと


「す、すみません…もうしません…助けて下さい!」


ハンターの一人がスチュアートに助けを求める。


「ふざけんな!」


バルトが嫌悪感をあらわに吐き捨てる!


「本当に…何を今更ですね…あなた今まで殺して来たもの達に同じ事を言われてなんと答えたのですか?」


「はっ?…あいつらは獣だ…喋るわけ…」


「喋らないとしても喜んで殺されていったものがいましたか?」


「そ、そんなの知らん…」


ハンターが顔を背ける。


「クズが!」


「クズですね!」


「助ける価値無しと…」


「ち、違う!俺達は頼まれて仕方なく…」


「頼まれたからと言ってやっていい事と悪い事の判断が出来ないような年には見えませんが?己が犯したことにきちんと責任を持ちなさい」


「クッ…」


男は悔しそうに下を向く…


「移動中自分のした事をしっかりと考えていなさい、ではお二人共気をつけて」


「はい、スチュアートさんも…」


「ス、スチュアート!」


男は名前を聞いてスチュアートさんを凝視する!


「スチュアートさんの知ってる人ですか?」


「まさか、こんな方見た事もありません…が色々と聞きたいことが増えました」


スチュアートさんは楽しそうに笑って男達を引きずりながら走り出した!

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