生き残った虫
黒イ卵
第1話
ある虫は、大きく力強かった。
黒光りする体を持ち、どの虫よりも凶暴だった。
ある虫は、細く長かった。
どんな大群が迫っても、ゆるりと巻き付き締め付けた。
ある虫は、繁殖力が旺盛だった。
一匹一匹は弱くとも、子孫たちは次々と殖えていった。
どの虫も、壺の中に入れられて、生き残るのに必死だった。
壺の中に最後に残った一匹を捕まえ、すり潰して粉にし、煎じて井戸に溶かした。
井戸の水を飲んだ生き物は、凶暴で、繁殖力が強く、長いものに巻かれるようになった。
ーーそして三千年後。
その日、地球の大地に、宇宙から来た生き物が降り立った。
「今度の壺は、大きいから時間がかかったな。」
「どれ、生き残った【虫】は、どいつかな?」
「手間暇かかったから、高値がつくな。」
彼らは最後の一匹になった虫を、捕まえにやってきたのだった。
(了)
生き残った虫 黒イ卵 @kuroitamago
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます