最大の魅力はなんといっても主人公のキャラクター造形です。かわいい、だけじゃない。ネカマ、というだけでもない。頭のネジがダース単位で外れているその破天荒ぶりに、読み進めていて自然と「なんだこいつ」という笑いがこみ上げてきます。
VRMMOでロボットものの小説というと一見どう料理してよいかわからない印象がありますが、正解を出されたような気分。パイロット同士の熱い煽り合い(レスバトル)は往年の富野作品を思わせ、文字だけではどうしても不足してしまうバトルシーンの迫力を補って余りあります。
折々にリアルの描写をきちんと入れてくるのも好印象。
いい意味で軽い文体はストレスなくサクサクと読め、程よい場面転換が読んでいて飽きさせません。
ちょいちょい笑わせに来る地の文やサブタイトルも好き。
ただ、劇中での一日の密度が濃すぎて物語全体のバランスが今後どうなるのか若干心配です。
他ならぬ主人公の性格が人を選ぶ部分もありますが、プロローグでブラウザバックするのはもったいない、とにかく8話あたりまでは読んでほしい、そんな作品。
今後の更新も楽しみです。