133bit 一途かつ計算できる系女子


 「かくして地球は真衣にゃんに支配されたのでした、おしまい」


 タブレットは『AIは地球を救う編 完』で締めくくられていた。


 そして先ほど真衣にしこたま怒られた雛乃は、すっかりどんより顔となっている。


 なんとか雛乃ちゃんを元気づけてあげたいけど。


 糸はなかなかいい案が浮かばずにいた。


 「ありがとう、雛乃ちゃん。 私たちのためにわざわざ資料まで用意してわかりやすく解説してくれて。 電子書籍のときもそうだけど、何かにハマったらとことん追究しようとする雛乃ちゃんって……かっこいいなって思うよ」


 控えめがちに、それでも芯の通った褒め言葉を送ったのは英美里だった。


 「あぁ、英美里ちゃんから後光ごこうが差している……。 天使の羽根と輪っかまで見えてきた。 イクラちゃんがぞっこんになるのも、よくわかる」


 雛乃は目をそばめながら言った。


 「す、数学分野においては私より雛乃の方が……つ、強いから雛乃にAIは適材適所なんじゃないの」


 次は真衣が頬を指で軽く掻きながら、ぼそっと呟く。


 「そう、AIには線形代数微分積分確率統計と、数学的知識を要する。 その点、私の計算力にはIkuraグループも一目を置いたみたい。 だから協力関係ということでAI構築に必要なマシン一式をくれたわけで……って、んなことよりあの真衣ちゃんが! 私のことを敬っている?! これはあれだ、いつもツンケンしているヒロインがごくまれにみせる究極の御業みわざ、デレデレだ!!」


 雛乃の表情が二人のエールによってぱぁっと明るくなっていく。


 そっか、雛乃ちゃんとAIって。


 もしかしたら相性抜群のペアなのかもしれない。


 なんでかって、それは。


 英美里と真衣のコンボに続こうと、糸はたった今思いついた言葉をすぐに伝えた。


 「雛乃ちゃんとAIはお似合いだよ! だって雛乃ちゃんはオタクで計算高い系女子だからね!!」


 あれ……いやそうじゃない!


 「ひ、雛乃ちゃん、私が言いたかったのは」


 「言い訳無用だよ、ちんちくりん糸っち」


 糸の不適切発言については、雛乃がばっちりコンボを決めた。

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