　「英美里ちゃんはあまりお出かけとかしないの？」

　先日古匠温泉に行った際に、英美里が珍行動を取っていたことを思い出し、糸は何気なく訊いてみた。

　「えっと……そうだね、あんまりしないかな」

　「じゃあ、たとえばお買い物とかってどうしているの？」

　「このご時世、ネットショッピングが充実しているから……」

　「そっか！　ネットショッピングだったら出かけなくてもお買い物を楽しむことができるね。　私も何度か利用したことあるよ」

　「ネットショッピングの画面によく出てくる『あなたにおススメの商品』の機能は、AIの技術が使われていることが多いとか」

　ネットショッピングの話題につられて、雛乃も会話に参加した。

　「そうなの？　雛乃ちゃん詳しいね」

　「AI絡みの技術はよくチェックしているから。　ユーザの閲覧、購入履歴やアクセス頻度から、ユーザの好みのジャンルを推測しているらしいね。　ちなみに英美里ちゃんは何がおススメになってる？」

　英美里はスマホを取り出し、よく利用するショッピングアプリを開いた。

　「私は……パーカーばっかりだね」

　「英美里ちゃんらしいと言えば英美里ちゃんらしい……。　糸っちは？」

　「ちょっと待ってね……おススメの商品……これかな……」

　糸は操作し終えたスマホを雛乃に渡した。

　どれどれ……って、なんでおすすめ商品が糸こんにゃくばっかりなの……？

　スマホの画面を見ながら雛乃は驚愕した。

　「糸っち、ネットショッピングで糸こんにゃくをよく買うの？」

　「買わないよっ！　もー雛乃ちゃんまでからかってー」

　いやいやいや！　でも待てよ……糸っちの話が本当だとすると……ユーザーの行動履歴さえも通り越して、パーソナリティを読み取っておススメを表示させているのだろうか……？

　AIの進歩か？！

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