08 サヤ

 ブリギットの地下に張り巡らされた旧下水道は、不気味な静けさに包まれていた。天井の砂礫がこぼれる微かな反響も、闇に呑まれて消えていく。怪物の気配もなく、鼠の鳴き声すら聞こえない。


 ユウリスも無意識に足音を忍ばせながら、変わり果てた空間に眉を寄せた。


 汚水の異臭は薄れて、燻った灰の息苦しさしか感じない。案内役の白狼は迷う素振りもなく進むが、たまに崩落した行き止まりに進路を阻まれることもあった。


「クラウ、焦らなくていい。でも確実に頼む」


 オスロットが深手を負った状態で発見されたという事実は、不吉な未来ばかりを想起させる。迷路のように入り組んだ通路を、どれほどさまよったか。地上から、重厚な鐘の音が聞こえる。大聖堂の鐘楼しょうろうから響く、時告ときつげの音色だ。


「日が変わって、鐘一つ。夜明けまでは、まだ遠いか」


 そこで白狼は、不意に振り向いた。金色の瞳が瞬き、目的地の到着を報せる。


 壁に空いた穴を潜り抜けると、サヤとボイドが暮らす地下の集落に行き着いた。外敵除けの柵には篝火が焚かれており、その向こう側には松明を手にした人影がいくつも見受けられる。錆びた金具の音を鳴らしながら、ユウリスは棄民たちの住処に繋がる扉を開いた。


「ユウリス・レインです。サヤと、ボイドに会いにきました!」


 闇に浮かぶ人々の視線が、一斉に招かれざる来訪者を突き刺した。全身を抉るような、鋭い殺気だ。ほとんどの者は無言だが、ひとつだけ嗚咽おえつが漏れている。すすり泣く声の主は、壁際に座り込んでいた。ほとんどの地下住民と同じく、髪と肌があぶらまみれの女性だ。


 ユウリスが、彼女に呼びかける。


「ナダ?」


「う、あ、ユウリス君? ……ユウリス君、来ちゃ、駄目!」


 のどを詰まらせるナダに駆け寄ろうとしたユウリスだが、正面から迫る大きな足音に気がついて動きを止めた。仲間の掲げる松明たいまつに垂らされて、大股で近づいてくるのはボイドだ。顔の半分と上半身を血の滲んだ包帯で覆い、片脚は引きられている。


 彼は悪鬼の《ごと》如き形相で犬歯を剥き、吼えた。


「ユウリス・レイン、貴様ッ!」


 ボイドが腕を伸ばし、ユウリスの胸倉を掴みあげる。そのまま少年の身体は乱暴に宙を振り回され、煉瓦れんがの壁に叩きつけられた。ナダの悲鳴が木霊こだまするが、助ける者はいない。


 集落の誰かが、呪われろ、と呟いた。

 その怨嗟えんさは、瞬く間に伝播でんぱする。


「呪われろ」

「呪われろ」

「呪われろ!」

「呪われろ、ブリギット!」

「呪われろ、レイン家!」

「呪われろ、ブリギット!」


 仲間の呪詛じゅそに応えるように、ボイドも絶叫した。子を失った父の慟哭――その形相や口調は、奇しくもランドロフを失ったロバートに似ている。


「呪われろ、ユウリス・レイン!」


 不気味な声が幾重にも重なる。

 飛びかかろうとしたクラウを、ユウリスは片手で制止した。


「……っ、クラウ、いい、動くな、絶対だ! ボイド、なにがあったんだ。サヤは、サヤはどこ!?」


「サヤは、どこだ? どこだと、そう聞いたのか? お前が、それを聞くのか、ユウリス・レイン!」


 彼の目は、狂気に血走っていた。


 仲間の一人が、松明の火で床を照らす。反射的に目線を下げたユウリスは、唇を震わせて絶句した。石畳いしだたみの上に、長い列が伸びている。敷き詰められたわらと、覆い被さる薄汚れた布。その膨らみに浮かぶ、人間の輪郭りんかく


 ナダは何度も何度も壁に爪を立て、わめき散らした。


「なんで、なんで、なんで、なんでなのよ!?」


 爪ががれ、どれだけ血が滲んでもナダは自傷じしょう行為をやめず、それを案じる者もいない。手を離したボイドは、ユウリスを床に落とした。間髪入れずに少年の腹へ蹴りを叩き込み、その黒髪を鷲掴わしづかむ。


「サヤはどこだ!? サヤはどこだ!? サヤはどこだ!? サヤはどこだ!? サヤはどこだ!? サヤはどこだ!? サヤはどこだ!? 教えてほしいか、ユウリス・レインッ!」


 ボイドは血のたぎりに任せ、ユウリスをいちばん手前の白い布に押しつけた。生々しい、思わず胃液の逆流してきそうな悪臭が、つんと鼻につく。黒ずんだ生地から、小さな手が覗いていた。血と痣で変色した、青黒い肌。


「サヤはどこだ、ユウリス・レイン? 答えてみろ? なあ、サヤはどこだ? 俺の娘がどこにいるか答えてみせろ!」


 鬼気迫る表情で、ボイドは目の前の布を剥ぎ取った。


 一人の少女が、藁に寝そべっている。服は破かれ、ほとんど半裸に近い。白い肌には数え切れないほどの切り傷と打撲の痕が浮かび、正視に堪えない有様だ。ユウリスは手を伸ばし、彼女の頬に触れた。


「サヤ?」


 呼びかけに、慣れ親しんだ太陽のような笑顔は返らない。


「サヤ、嘘だ、サヤ、サヤ、サヤ、サヤ!」


 肌の冷たさが、かすかにも感じさせない呼吸が、死という現実を突きつける。それでも受け入れることはできない。しかし現実を心が拒否しても、とめどない涙は頬を伝い、唇が戦慄わななく。身体を内側から切り裂かれるような痛みに襲われて、息ができない。


 心が、砕ける。


 ユウリスはサヤの顔を両手で包み、魂を震わせた。


「あ、あああ、あああああ、あああああああああああああああああああああ!」


 悲嘆に暮れる少年の腹を、ボイドは再び蹴り上げた。それでも娘の遺体から離れないユウリスの髪を引っ張り、藁の上に何度も何度も頭を叩きつける。


「なにがあったか聞きたいか? ん? それとも、お前はぜんぶ知っているのか?」


「わからない、わからない、わからないよ、なんで、なんで、なんでサヤなんだ!」


「なら教えてやろうか! 俺の目の前で、サヤがなにをされたのか! 嫌がるこの娘を押さえつけて、あの下衆野郎げすやろうどもがどんなことをしたのか! ひとつひとつ、ぜんぶ、教えてやろうか!」


 凶暴なうなり声を上げるボイドに、ナダが飛びついた。父親と、友人と、少年――サヤを巡る三つの慟哭どうこくが、集落の隅々にまで響き渡る。


「ボイド、もう止めて……ユウリス君のせいなわけないじゃない。サヤをあんなに可愛がってくれていた子に、サヤの前で、ひどいことをしないで!」


 ナダはユウリスを奪い取り、ぎゅっと抱きしめた。その傍らには白狼が無音で佇み、これ以上は許さない、と冷徹な狩人の眼差しで地下の住民たちを睥睨へいげいする。


 刹那、大きな揺れが地下世界を襲った。都市を分断した地震に比べれば小さなものだが、そこかしこから崩落の気配が漂う。


 ボイドは無感動に視線を巡らせると、集落の仲間たちに片手を掲げた。


「二度目の地震だ。行こう、すべてを終わらせる」


 ボイドが娘の亡骸を抱き上げると、他の住民たちも床の布を剥ぎ取った。暗がりに紛れているが、遺体の数は十に近い。それぞれの縁者がむくろと化した同胞を担ぎ、下水道の闇に消えていく。


 ナダの腕から身を乗りだし、ユウリスは声を張り上げた。


「なにをする気だ、ボイド!」


「なにを、だと?」


 ボイドの表情は、能面のように冷たい。瞳の奥でうごめく黒いたぎりは、怨讐に満ちている。娘を惨たらしく殺された父親は、息子を失ったロバートと同じように、暗く淀んだ激情を吐き出した。


「復讐だ、復讐しかない! ブリギットは俺たちを裏切り、あまつさえ大切な家族の命をもてあそんだ! 許されないだろう、許せないだろう! だから壊す、この街を、この因習を、なにもかもぶち壊して、地上の奴らに思い知らせてやる。自分たちの愚かさを、残酷さを、すべて悔いて、そして死ねばいい!」


「無理だ。地上は怪物だらけで混乱しているけれど、じきに領邦軍と警官隊が合流する。こんなときに暴動なんて起こしたら、逆にボイドたちの命が危ない!」


 ユウリスの警告を、闇に紛れた集落の住民が鼻で笑う。口元を歪につり上げたボイドは、呆れたように首を左右に振った。ナダが鼻水をすすりあげ、声を絞りだした。


「キーリィ・ガブリフの遣いが来たの。下水道のあちこちに、大量の黒焔石こくえんせきと火薬を配置したって言ってた。そこに火を点ける手伝いを、ボイドたちにしてほしいって。みんなは恨みを晴らすために、爆発で街を呑み込むつもりよ」


 ユウリスはぎょっとして、息を詰まらせた。


 黒焔石は、強力の熱量を秘めた鉱物として知られている。少量でも火力は凄まじく、その効果は上限知らずだ。


「駄目だ、ボイド! 騙されてる! この騒ぎはぜんぶ、キーリィの仕業だ! サヤを襲ったのも、キーリィの部下に違いない! あいつは地下の人たちを利用して、ブリギットを壊すつもりなんだ!」


 集落の住民が掲げる松明は闇に潰え、足音も遠ざかる。必死に声を張り上げるユウリスの訴えは、誰の心にも響かない。最期まで残ったボイドが、冷たい眼差しと共に吐き捨てた。


「俺と、サヤ、それからオスロットとかいう警官を襲ったのは、間違いなく街の人間だった。そしてあの下衆野郎共を率いていたのは、ユウリス、お前のところの侍女だ! あの銀髪を、間違えるわけがない! レイン家に遣える女が、人を使って俺たちを襲わせた! 他の連中も同じだ、地上の人間に襲われている!」


「ジェシカ・バーグ……!」


 ここに到り、ユウリスは確信する。


 間違いなく、ジェシカはキーリィ・ガブリフの仲間だ。レイン公爵邸で過ごした使用人としての彼女が偽りだったのか、あるいはハサンの一味による洗脳なのかは判然としないが。おそらく彼が見たという街の住人というのも、仕組まれた悪意の手先なのだろう。


「聞いてくれ、ボイド。レイン家は関係ない。ジェシカに、義妹いもうとのヘイゼルがさらわれた。爆破なんてしちゃ駄目だ! 本当に、取り返しのつかないことになってしまう!」


「取り返しのつかないことなら、もう起きた! サヤは目を開けない! この娘は、もう二度と笑わないんだ! お得意の正義感でなんとかできるつもりならやってみろ、ユウリス・レイン! お前の小賢こざかしいひたむきさで、サヤを生き返らせることができるのか!?」


「キーリィはブリギットを滅ぼそうとしている。そんなことにサヤの死を利用させちゃいけない。わかるはずだ、ボイド!」


「わかっているとも、三十四年前も同じだった。大洪水にかこつけて、異教徒狩りが起きたのは知っているか? もし知っているなら、これはどうだ。実際に行われた殺人のうち、何割が本当の異教徒狩りだったと思う?」


 ユウリスは答えることができず、ナダの腕から抜け出して顔をしかめた。質問の意図が、すぐに理解できない。大洪水の混乱で起きた異教徒狩り――その大半に、隠された陰謀でもあったというのだろうか。


 呆然とする少年を哀れむように、ボイドが緩く首を振る。


「甘ったれの小僧め。お前のような奴を、一度でも信じてしまった自分の愚かさに反吐へどが出る。なあ、ユウリス・レイン。異教徒狩りは確かにダーナ神教の信者が加害者で、信仰の異なる少数の異教徒が被害者だった。だが実際、加害者の大半は信仰なんてどうでもよかったのさ」


「どういう、こと?」


「ああ、ああ、本当にクソガキだな! 愚鈍で無知な、お金持ちのお坊ちゃん! 異教徒狩りと称して犯された女がどれだけいたか知っているか? 焼かれた家の数を! 奪われた財産の量を! 異教徒狩りなんていうのは、体のいいごまかしでしかない!」


 それらはすべて、異教徒狩りの名を借りただけの犯罪行為だ。平和な日常では見逃されてきた信仰の違いが、急に芽を出すがずはない。信じる神の名を騙りながら、その実は災害で生まれた鬱憤うっぷんを晴らすために悪逆の限りは尽くされた。


「少し考えてみればわかるだろう」


 ボイドは鼻を鳴らし、さらに声を荒らげた。


「あの時、あの冥府を味わった者なら誰でも知っている! 教会の連中も、お前の父親も、大人はみんな知っていて、それを異教徒狩りという括りで封じ込めた! これが、人間の悪意だ! もう俺は、すべて壊すことでしか、この怒りを鎮めることができない!」


 本当の悪意。


 人間の醜くよこしまな側面は、少年の想像を遥かに超えていた。


 これ以上の問答は無用とばかりに、ボイドがきびすを返す。その背に呼びかけても、振り返る素振りすら見せない。ユウリスは覚悟を決めて、腰の短剣を引き抜いた。


「ボイド、ごめん。それを聞かされても、このまま行かせるわけにはいかない。黒焔石の爆破を許せば、次の憎しみがはじまってしまう。サヤの父親に、そんな真似は絶対にさせない」


 しかしボイドは立ち止まらず、入れ替わるように新たな足音が近づいてくる。ユウリスが夜光石を床に放り投げると、その人影が輪郭を顕にした。質素な白いシャツと黒いズボンに身を包んだ、糸目の若い男――キーリィ・ガブリフの秘書ダニー・マクフィーが、乾いた拍手を響かせる。


「いやあ、貴方は本当に素晴らしいですね、ユウリス・レイン。キーリィがこだわる理由もわかる気がします」


「ダニー・マクフィー!」


「覚えていただけて光栄です、どうかダニーとお呼びください。その諦めない姿勢が、人を惹きつけるのでしょうか。私は常々、貴方のことは早目に始末したほうがいい、とキーリィに進言していました。市庁舎の事件以来、ずっと危機感を覚えていたのです。貴方は星に恵まれすぎている。いつか彼にとって最大の障害になるであろうことは容易に想像できていました。しかしまさかここまで成長するとは、感慨深いものです」


「父親の≪リッチ≫を殺されて、キーリィは怒り狂った?」


 ユウリスは正面から意識を外さず、傍らの白狼に目配せをした。背後で座り込んだままのナダを一人で残してはいけない。挑発して隙をつくり、一気にダニーを制圧する――そんな少年の思惑を嘲笑あざわらうかのように、議員秘書は呑気のんきに首を傾げた。


「キーリィは、それほど父親に固執していませんよ。たしかに、この計画は親子揃っての悲願です。ですが≪リッチ≫が道半ばで倒れるのも、彼はり込み済みでした」


「≪リッチ≫が死ぬのも、計画通りだった?」


「どう転んでもいいように物事を進めていた、というのが正しいかもしれません。むしろ復讐心に燃えているのは、私のほうです。前にお話しをしたでしょう、私を見いだしてくれたのは、彼の父リカルド・ガブリフ――つまり≪リッチ≫なのです。まあ、もっとも恩人を殺された恨みを晴らそうという理由で此処に来たわけではありません」


「なら、なにをしに来たの?」


「ボイドたちを逃がすための時間稼ぎですよ。ですから、こちらの話を聞くつもりがあるなら情報をお与えしましょう。私は貴方を留めておける、貴方は労せずに情報を得られる。お互いに利があるとは思いませんか」


 ユウリスは耳を傾ける素振りを見せながらも、慎重に神経を研ぎ澄ませた。ハサンの一味が潜んでいる可能性を恐れたが、周囲の空間に動く気配はない。


 ダニーが得意げに薄い笑みを浮かべる。


「例えばそう、爆発用の黒焔石を配置した場所の地下にはスットゥングの凍れる水脈が通っています。業火の熱量が零度の流水に交われば、ブリギットの地盤は熱疲労を起こして瓦解する。都市が奈落に落ちる様を想像してみてください。まさに、冥府の再現だ!」


 無視して、ユウリスは意識の触手をさらに伸ばした。


 気配は殺すのではない、溶かすのだ――とは、道場の兄弟子から受けた薫陶くんとうだ。同じ隠れかたを、ハサンの一味も身につけているかもしれない。そうして注意を払ってみると、闇の中に奇妙な静けさを見つけた。なにもいないように装っている、完全すぎる沈黙の空間。それが一つ、二つ、三つ。


 三人のハサンがいる。


 その一人は、ナダのすぐ真後ろに。


「ナダ!?」


「おや、ユウリス様。人と話すときは相手の顔を見るものですよ」


 振り向いたユウリスが踏みだすよりも早く、ナダの首筋に鋭利な刃物があてがわれた。暗がりから浮かび上がる黒装束くろしょうぞくのハサンが、彼女の腕をひねって床に押し倒す。さらに二人の暗殺者も姿を見せ、ダニーは芝居がかった仕草で大仰に両手を広げた。


「ユウリス様! ユウリス様! ユウリス様! ああ、ユウリス・レイン様、なんて愚かで可愛らしい。ご安心ください、貴方が妙な真似をしなければナダは解放します。私の目的が時間稼ぎだというのはほんとうなんですよ。キーリィは予想外にイルミンズールの制御に手間取っていて、まだユウリス様をお迎えする準備ができていないのです。あと鐘が一つ鳴るまで、ここで楽しくおしゃべりをしましょう」


「イルミンズールの制御に、この地震が関係している?」


「ええ、今回の崩壊も含めて、ブリギットの異変は創世の大樹とも呼ばれるイルミンズールの暴走が原因です。怪物の活性化、地割れ、それらを一本の樹で引き起こせるのですから、こんなに安上がりな方法はありません」


「どうしてこんなことをするんだ、ダニー。貴方は……お前は、この集落の出身だと言っていたじゃないか。ナダも、ボイドも、それにサヤも、みんな仲間だろう」


「仲間どころか、彼らのことは家族だと思っていますよ」


「だったら!」


「お優しいユウリス様。私の身の上話を聞いてくださるのですか? もっとも、身動きが取れないのであれば、どんなくだらない雑談にも乗るしかないでしょうがね」


 ナダは怯えて、きつく目を閉じていた。彼女を拘束するハサンの一味に隙はない。残る二人も適度に距離を保ち、攻防どちらにでも移れる構えだ。


 ボイドの気配はすでに遠く、ミアハの感覚では追いきれない。


 クラウはじっと反撃の機会を窺っている。


 なにか動けるきっかけがあれば――そう唇を噛み締めたユウリスの背後で唐突に、どこか億劫そうな男の声が響いた。


闇祓やみばらいの作法に従い――」

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