森に捨てられた少女は、獣に愛される
@ssk20
第1話
この森で過ごしてから、何年の時が経っただろうか。
何年、狩りをしただろうか。
何年、洞窟で過ごしただろうか。
何年、人と喋ってないだろうか。
何年、一人でいるだろうか。
私は、確かにあの村から消えたはずだ。
髪色が異常だから。
目の色が異常だから。
力が異常だから。
全ては見た目が異常だから。
そんな理由で私は村から追い出され、森の中で殺さたはずだ。
地震や土砂災害と、その年は最悪な事が立て続けて村を襲っていた。そんな異常事態から、村長は村の者を集め話をした。
結果、私がこの村に存在してるからだと村人の意見は固まった。何故か。
村人は言う。お前は悪魔の子だと。
村人は言う。お前は魔女の子だと。
村人は言う。お前は厄災をもたらす子だと。
普段から、何か悪いことが都合が悪いことが起こると、決まって私の所為だと決めつけられた。何も私はしてないのに。
私には身を守ってくれる親がいなかった。既に他界していた。村での居場所は無いに等しく、しかし、唯一いられた場所は、記憶に無い親の崩れかけている家だ。所々に穴や隙間が、天井には蜘蛛の巣があちこちに張られ、壁や床は腐り苔が一部生えている。
とても、普通なら人が暮らせる状態ではなかったが、それ以外にいられる場所は無かった。生前、両親が生きていた名残がその場所には残っていた。小さなタンスにはボロボロな大小それぞれ2着の服が。その側にある片足が折れ、傾いたベッド。床には畑仕事で使う錆びた鎌等が転がってる。家の中央にはこれまた小さくボロボロに腐ったテーブルと、壊れた椅子が二つ倒れていた。そして、その中に二つの椅子に挟まれた子供用の椅子がある。
それはきっと、私の椅子だ。
それだけで、両親は私の誕生を祝福してくれていたことが伝わる。
その椅子に座って、ただ、ぼぅーと時を過ごしていた。外には早朝に出て、罠を張ったり、食べられる草などを採って食を満たしていた。しかし、それも始めは近くでも食が足りていたのが、奥へ奥へ行かなくては採れなくなっていった。奥へ行けば行くほど危険が増えていく。自分の体力では、森へ狩りするにも限界があった。狩りと言っても、罠を仕掛けることしか出来ず、弓や短剣は三歳の私には上手く扱えなかった。
日中はひたすら家でぼぅーと過ごしていたい所だが、村の者が押し入ってきて、一方的に痛めつけてきた。
だから、ある意味。あの日、私を殺してくれたことにやっと解放された気分だった。
これで、痛いことを毎日受けなくて済む。
これで、寒いところにいなくて済む。
これで、毎日の飢えに苦しまなくて済む。
これで、あのどろりとした視線を受けなくて済む。
と、思ったのに………。
気付けば、私は殺された場所では無く、全く見覚えない場所で目を覚ました。
そして、その場所には大きな熊が寝そべっていた。
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