第36話 帰省?訪問?
「よ、よし!行くぞ!……いや、でもまだ心の準備が!」
「はぁ……謙人くん、いつまでそうしているんですか?私の家ですよ?」
そりゃ涼風にとっては自分の家に帰るだけだからいいだろうけどさ。
「涼風、もし仮に俺が明日、いきなり涼風を俺の両親に会わせるって言ったらどうする?」
「え、えっと、それは……、大分緊張してしまいますね……」
「だろ?俺はまさに今その立場に立ってるんだ……」
「でも、謙人くんはもう私の両親とは面識があるどころか、とても仲が良かったですよね?」
仲が良いっていう表現は、年齢差的にどうなんだろうか……?
「そうだけどさ、俺と涼風はあの時とはもう違う関係にあるんだよ?将来の話とかするかもって考えたら緊張するじゃん……」
涼風は不思議そうな顔をしている。
「将来って、なんのことですか?」
え、嘘だろ涼風……。俺的にはその気満々でいたんだけど……。もうこうなったらやけくそだ!引かれてもしょうがない!
「俺としては、涼風を彼女っていう関係で終わらせたくはないんだけど、っていうこと。意味わかった?」
これで伝わってくれなかったら、めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど……
「彼女っていう関係で終わらせたくない……?」
えぇ……!伝わってない⁉まじかよ……。
「だから、……って」
涼風の顔がどんどん赤くなっていく。どうやら伝わったらしいです。よかったぁ……こんなところで誓いの言葉を叫びたくないよ流石に。
「あ、あの、謙人くんは、私でいいんですか?」
「むしろ涼風じゃないと嫌だ」
涼風は顔は真っ赤だが、とてもうれしそうだった。
「あ、あの、じゃ、じゃあ、不束者ですが、末永くよろしくお願いいたします!」
「ほ~う。じゃあ、私も一発殴る覚悟を決めておいたほうが良いかな?」
えっ……?待って、まさか……!
「お、お父さん⁉」
「おかえり涼風。それに謙人くん。暑いから早く中に入ってきなよ」
「「は、はい……」」
良かった、突っ込まないでいてくれるらしい……。
「謙人くん、ちょっと後で話できるかな」
と思ったら、フェイントかまされたぁぁぁ~~~!なぜ俺は義治さんと普通に会うことができないんだろう?前回だって……なんか怖いから言うのはやめておこう。
「お、おじゃまします……」
「あら、涼風と謙人くん!おかえりなさい。それから、久しぶり。涼風は元気そうね!謙人くんは……なんか顔が青白いがするんだけど、気のせいかしら?」
ア、タブンソレキノセイジャナイデスヨ。
「だ、大丈夫ですよ!お久しぶりです、亜紀さん!」
「それならよかったわ!さあ、二人とも、上がって上がって!」
まずは荷物が重いから、部屋に置かせてもらうことにした。
「じゃあ、二人はこの部屋だから。自由に使って!……って言っても、涼風の部屋なんだけどね~」
ん?今なんか、変なことが聞こえたような……
「あの、それで、俺の部屋はどこでしょうか?」
「え?だからここよ?」
「え?じゃ、じゃあ、涼風の部屋は?」
「え?だからここよ?」
はい?俺の聞き間違いじゃないよね?それか亜紀さんが「え?だからここよ?」しか喋れなくなったとかじゃないよね?
俺は答えを求めるように涼風を見た。すると彼女は恥ずかしそうにしながら答えた。
「私がお願いしたんです。せっかくなら一緒の部屋が良いなと思いまして……」
なんですとぉぉぉぉ‼え?俺今誘われてんの?
「一緒に生活するとかなかなかできないかなって思いまして。……謙人くんは私と一緒じゃ嫌ですか?」
誘ってるとか言って申し訳ありませんでしたぁぁぁ‼涼風、その純粋な瞳をキラつかせないで……
「嫌なわけないよ。そうだね、せっかくだから一緒の部屋にさせてもらおうかな?」
「えへへ、謙人くんと一緒~!嬉しいです!」
思わず涼風の頭に手が伸びた。そのまま優しくなでる。
「俺も一緒にいられて嬉しいよ」
はい!ここで問題です!今、この場にいるのは実は三人です!俺と涼風と誰でしょう!
「あらあら。二人して熱いわねぇ。これはクーラーの温度低くしないと熱中症になっちゃうかしら?」
完全に忘れてましたぁぁぁ‼
「それにしても、謙人くんと両想いでよかったわね、涼風?」
「はい……!本当に嬉しいです!」
「え?亜紀さん、知ってたんですか?」
「知ったのは今のやり取りでだけど、なんとなくそうなるんじゃないかとは思ってたわよ~。この間の距離感を見れば、一目瞭然だったわね」
そんなに分かりやすかったのか!かといって涼風への想いを自重できる自信もないしなぁ……
「じゃあ、適当に荷物置いたらリビングに来てちょうだい。いろいろ聞かせてよね?」
なにその笑みは……?怖いんですけど、亜紀さん……?
来てしまった以上、逃げるわけにはいかないから、俺は恐る恐る、荷物を置いてから、涼風とリビングに向かった。と、そこには……
「さて、謙人くん。どうしたら玄関先で婚約まがいのことをするのか、説明願おうか?」
般若のような顔をした、義治さんが座っていた。
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