ピンク色の傘

はちみつ

出逢い

第1話 落とし物

 初めまして!はちみつです。

 今回が私の初投稿作品となります。全くの初心者なので変な場面が出てくることもあるかと思いますが、最後まで読んでもらえると嬉しいです。


 ~~~~~~~~~~~



 「ん、何だあれ?」


 駅の改札を抜けてすぐのところにピンク色の細長いものが落ちていた。


 あんなところに、落とし物かな……?


 いったい何だろうという好奇心から、俺はそれの方へと近づいて行った。


 拾い上げてみると、それは傘だった。


 まだあまり使われていないように見える、ピンク色のきれいな折り畳み傘。


 近くに探しているような人もいないし、きっと落としたことにまだ気づいてないんだろうな。これは事務室に届けておくか……。


 このデザインからして、落とし主は中高生であろう。ということはきっと帰りもこの駅を利用するはずだ。


 俺は事務室で駅員に傘を預け、ホームへと向かう階段を上っていく。


 傘を届けに行っていたため、いつもより一本遅い電車になってしまった。


 まぁ、こんな日があってもいいか。


 ホームに流れ込んできた電車に乗って、ぼんやりと外を眺めながら、一人の世界を楽しんでいた。


 ちなみに俺は南謙人みなみけんと。高校二年生だ。自分で言うのもなんだが、俺は陰キャの部類に入る人間だと思う。まぁ、クラスのトップカーストには絶対に入れないような暗い人間だ。


 そんな俺にも友達くらいはいる。そいつは……っと、駅についちゃったからそいつの事はまた後で紹介しよう。


 電車が徐々にスピードを落として駅に到着した。


 この時間は会社に急ぐサラリーマンで、電車もホームも溢れかえっている。


 本当に日本人はよく働く人種だと思う。俺はこんなに朝早くから出勤しなくちゃいけない仕事なんて、絶対にお断りだ。


 今日だって、学校といううざったいものがなければ、お昼を過ぎたころまで惰眠を貪っていたところだろう。


 ……本当に、学校なんてもの、誰がつくったんだか。適当に自分で勉強してればそれでいいじゃないか……。


 何て嘆いていても行かなければ出席日数不足で留年になってしまうからおとなしく毎日登校している。


 ……ただでさえ鬱陶しい学校が、もう一年延びるなんて地獄以外の何物でもないよ?


 ぼーっとそんなことを考えながら歩いていたら、いつの間にかホームからは人がほとんどいなくなっていた。


 俺も行こう……。


 しぶしぶ階段を上って、改札に向っていると、またもや何かが落ちていた。


 今日、物を落とすといいことでもあるのかな?


 一日に二度も、それもさっき拾ってから二十分しか経っていないのに、また落とし物を拾うなんて……。


 運がいいんだか悪いんだか?……これは悪いに入るんだろうな。


 まぁ、俺は心優しい人だから、届けてあげますよ。


 拾って確認すると、それは定期券の入ったパスケースだった。


 パスケースか……、ん?これ、早く届けないとその人改札から出れなくね?


 俺は急いで改札にむかった。


 誰か、改札出れなくて困ってる人は……。あ、あの子っぽいな。


 そこには、カバンの中身をひっくり返して涙目になりながら探し物をしている一人の女の子がいた。


 これで違ったらめんどくさいな。そうしたら駅員に預けとくか。


 その子は後ろ姿だったから、外見は分からないが、背の高さ的には中学生だろうか?


 変にナンパとかと勘違いされたらやばいな……。まぁ、普通に会話すれば平気だよね?


 だが、甘かった。振り返ったその少女を見た瞬間、俺は声もかけられないほどに固まってしまった。


 何でって、その子がとんでもなく美少女だったから。


 艶々として撫で心地のよさそうな栗色の髪に、整って、バランスの取れている美しい顔、庇護欲を駆り立てられる小柄な身長にもかかわらず、女性の理想の体型と言っても過言ではないほどのバランスの取れた体つきをしている完璧美少女が目の前に現れたら、きっと誰もが固まってしまうだろう。


 ……待って、その美少女に今めっちゃ睨まれてるんだけど、俺結構やばくない?


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