語尾にニャーをつけるなんて馬鹿げている
こめ おこめ
人間はなんて鳴くんだ?
幼稚性を含んだ言葉で話しかけてきた。
それなりに意味は分かる。しかしそれを聞く通りは私にはない。
振り返ることもせず茂みの中に入る。
残念そうな声が聞こえるが私の知ったことではない。
どこに行っても人、ひと、ヒト。
大体のものは私を見かけると近づいてきて触ろうとしてくる。
触られるのは嫌いではない。しかし知らないものに触らせるほど気安くもない。
こいつらは同じ種族間でもそのようにふるまっているのかと私は問いたい。
答えが「NO」ならばなぜ違う種族の私に気軽に触れようとするのだろうか。私には理解しがたいものがある。
今日は何をしようか悩みながら散策をしているとごみ捨て場にカラスが三羽、漁りをしていた。彼らに対して思うことは特にない。しいて言うなら私もそこを漁ろうと考えていたので場所がかぶってしまい少し残念であるということだ。
目を合わせることなく次の場所に向かう。向こうもこちらに気づいたようだが特に関心を示すことなく再び漁り始めていた。
次はどうしようかと歩いていると同じ種族のものに出会った。彼女は確か誰か主がいたはずだ。ここにいるということはどうやら彼女の家は放任主義のようである。
『ニャー』
ふむ、なるほど。さっぱりわからん。私に分かることといえば彼女の甘い声が私には甘すぎるため摂取は控えたい。
その後も何度か声をかけられた為気だるくも耳を傾けていたが、人間がをおそらく彼女の名を呼んだのだろう。その声のするもとへ向かっていった。
うんざりとは言わないが、解放されたような気分になった。
また誰かにかまわれるのは疲れる。静かな場所に行きたいが……そうだなあそこに行こうか。
少し古い家までやってきた。少し狭いが日の当たる庭に入ると縁側に一人の人間が座っている。その人間は私に気づくと家の中に戻り何か持ってきた。
無言で私に食べ物を差し出してくる。このものは私の主ではない。名前も付けられた覚えはないし触れられたことすらない。しかし私が顔を出すと毎回ご飯を用意してくれる。
この人間は何を求めているのだろうか。私には分からない。むこうが勝手にやっていることだ。なら私が多少勝手なことをしても問題ないだろう。
食事を終え、座っている人間の横に私は伸びをしながら腰を下ろす。
『ニャー』
一言発し、私は眠りにつく。
目を閉じる一瞬、にこやかな表情が見えた気がしたが私には関係のないことである。
語尾にニャーをつけるなんて馬鹿げている こめ おこめ @kosihikari3229
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