精霊王に選ばれし剣士〜どん底でも成り上がってみせましょう〜
なっとー
第1話 異世界に召喚された件について
俺は高校2年に進学した
そして最近彼女が出来た。しかもとなりの家に住む幼馴染の女の子だ。
「おはよー、健ちゃん!今日もかっこいいね!」
「おはよう、いやいや俺なんか大したことないよ。愛菜の可愛さには負けるわ。」
「うふふ、ありがと。それとサッカー部の件考えてくれた?」
「うーん、ごめん。やりたい事もあるしやっぱり遠慮しておくわ。」
「うう、そっかあ、残念。それじゃ行こ!」
自宅の玄関で待ち合わせしてカップルとして初めての登校なだけに胸が弾む。となりの彼女も胸が弾む、物理的な意味で。彼女は
彼女のスタイルのことはこの辺にしておこう。彼女はクラスメートで成績優秀、運動神経もよく容姿端麗なのに文武両道、学級委員長でサッカー部のマネージャーであり俺の彼女である(3日目)先週の金曜日の夜にダメ元で告白したらすんなりOKを貰えた。幼稚園からの仲で初恋が実って今が幸せのピークとも言えよう。だが本当にその後言葉通りになってしまうのが人生の怖いことでもある。
通学路にある交通量の多い交差点で時間は起きた。
信号待ちでいきなり向かい側からトラックがこっちに突っ込んでくる。赤信号なのにも関わらずトラックは信号を無視して猛スピードで突っ込んだ結果横転しながら斜めに滑り出し俺と愛菜をピンポイントで捉えた。
「きゃああああああああああー!」
「くそっ」
これ、あかんやつだ。間に合わない…せめて愛菜だけでも!あれ?足が動かない?地面から離れない。そう思った瞬間、目の前が真っ暗になった。どうやらこの時意識が失われたらしい。
(ねぇ、目を覚まして。そして思い出して、私を)
ここ最近よく夢で聞こえ覚えのある声がしてハッと目が覚める。ここはどこだ?
「よくおいでなさった。異世界の勇者たちよ」
「は?」
え、今なんつったこの偉そうなおっさん。え?なに?今異世界の勇者たちって言ったよね?そして周りを見渡すとすぐそばで聞き覚えのある女の子の声が聞こえてくる。
「うーん、あ、ケンちゃんおはよう。」
愛菜だった。異世界どうこうは置いといて彼女の無事を確認してとりあえず一安心した。そして俺たちの他に勇者候補らしき学生服を着た男が2人と女が1人横たわっていたがこの3人も目を覚まし体を起こす。しかし男2人は見覚えがあった。
「お、ここはどこだ?あ、愛菜おはよう!」
「あ、ライ君も一緒だったんだね」
笑顔で愛菜が応える、ちょっと嫉妬心を煽る一コマはあったがそれはまず置いておく。こいつはサッカー部のエースでポジションはもちろん
それにしても学級副委員長の宮城と学級委員長の愛菜と距離が近い、仕方のないことだがサッカー部だけでなくうちのクラスや全校生徒単位で噂されていた2人だ。まさか俺と付き合っているなんて予想もしないだろうな。だからこそ危ない、現に愛菜はニッコリ笑顔で奴に挨拶を返しているが客観的に見てもお似合いのカップルに見える、もちろん俺なんかよりも。心の中ではあいつ(宮城)に5発は顔面に拳を入れているがそのような態度をあいつに仕向けると愛菜に幻滅されるかもしれないのでそれは流石に困る、ここはグッと堪えることにした。2人が仲良く会話をしていると…
「ねぇねぇ、嫉妬はかっこ悪いよー健太くぅーん」
嫌悪感を煽る声が聞こえてくる。
「てめー、表出ろや」
ドスの効いた低い声で返すと
「おーこわいこわい、そもそも表ってどこだよ。まぁ自分も異世界に来たっちゅうわけだな。それより王様とでも話を聞いてみるからまぁあの子に相手でもしてもらいや。」
なんとも憎たらしい。
こいつは高校からの付き合いでクラスメートで1番仲のいい「親友」とも「悪友」とも呼べる男、
にしてもなんで俺以外サッカー部関係者なんだよ。そして最後の1人は…
「フフフ…あ、あの君。占ってあげようか。」
不気味な女がいつの間にか背後から現れる。この状況で何言ってんだこの女は。すると右掌をクイッと俺に差し伸べる。
「占ってあげようか?大事だから二回言ってみた。左手出して」
なんだこの不気味な女は。こんな奴うちの学校にいたっけ?赤ブチメガネ、髪はボサボサの黒髪ロング、背丈は愛菜よりちょっと高いかな、胸はぺったんこ。端的にいうと細目の一重ブス。こんな表現をして申し訳ないがそれしか例えようもない。
「な、なんだよ、彼女が見てるしそれはちょ…」
「大丈夫、ほら」
彼女が指を差すと愛菜と宮城が仲良く話しているのがわかる。
「ね、彼女も大丈夫だし王様っぽい人も君の友達と喋ってるから、今のうちだよ」
「わ、わかったよ。ちょっとだけな。」
棚橋はともかく愛菜と宮城の事は凄く不快だったが彼女に手相を見てもらうことにする。左手を彼女に差し伸べるとボサボサ髪の彼女は表情1つ変えずにに口を開く。
「君、死相が出てる。気を付けて」
「え?」
いまなんつった?さらりととんでもない事を口にしたんですけど。
「ラッキーパーソンは『わ.た.し!』」
彼女は自分を指差しながら不気味な声でボソリと呟きニヤつくと左手を離して俺に向かって手を振る。俺は呆然としていると…
「絶対、死なないでね」
そう言って俺に背を向け、王様のところへ行く。絶対とか言うなまじで、フラグだろんなもん。本当に厄介なことになりそうだ。杞憂で終わってからまじで頼む。
俺はただただ無事に現代の元の世界に帰還して愛菜と元の生活に戻りたい、そう切に願った。
その日は夜が遅かったため各1人ずつ個別の部屋が用意された。俺は疲れたのですぐに寝ついたが何故か嫌な予感しかしない。それが思った以上に早く現実のものになってしまった。
次の日の朝王家の間に5人全員が呼ばれた。
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