乙女に

憂うものなきその眸(ひとみ)

君が眸の奥深き

雄邁奔(はし)らす気高さよ

清水のそれにも比ぶべき

君が御魂(みたま)の清冽よ

薔薇とて頭(こうべ)を下げて言う


君が頬にはいと紅し

我が棘ささりて尚紅し


斧もて槍もて剣(つるぎ)もて

如何に挫かん君が根を

時に一露一滴

君が御胸にふるるとも

じきに乾きて沁みゆきて

泉の糧となり果てん

君が素肌に暮れは能わじ

陽の顔(かんばせ)の下(もと)立ちたまえ

若木となりて立ちたまえ

行く手に春は咲き誇り

霜は木陰で溶け去ろう

今は縛むものとて何もなし

早駆けに駆け往きたまえ

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