期間限定公開 生足あきのんサンタと

「ふぉっふぉっふぉ……今年ももうこの季節になったのかのぉ」


 ワシは窓から外の雪を眺めながら一人呟いた。


 今宵は年に一度のクリスマスイヴ。そしてこのクリスマスSSも3年目。街中の子供たちのために今からプレゼントを配るところである。さて今年は誰がワシのお手伝いをしに来てくれるのだろうか……今年こそ、どうか今年こそ、しほりんでお願いしますうううう! 


 しんしんしん……


 外はますます白くなっていく。


 あれ? 


 誰も来ないじゃん……


 まさか、この寒い中ひ、一人でこれ全部配るの? 


 ワシはソリに乗せたa lot ofなプレゼントの山を目の前にして絶句する。


 そんなぁああああ


 しほりんしほりんしほりぃいいいん!


 ワシの心の叫びは外の吹雪の音にかき消されてどこにも届かない。そんな孤独と絶望の嵐の中で冷たい現実に打ちひしがれる。それでも、それでもだ。ワシは、ワシは行くのだ。子供たちの夢のために!


 でもなあ……やっぱり、しほりんに会いたいよぉおお


 がたっ


 その時だった。目の前のプレゼントの山がもこもこ動き出した。えっ、これはもしかして……そういう展開? (´∀`*)ウフフ(*´∀`)


「し、しほ……」


「じゃーんっ、おー兄っ、手伝いに来てあげたよーっ⁉」


「な、なんだと……」


 プレゼントの山から飛び出てきたのは赤い服に身を包んだサンタコスの我が妹・亜季乃であった。ショートカットの茶色がかった髪に白い玉が先っぽについた真っ赤なサンタ帽をかぶり、襟元が金色のラメできらきら光っている、腰のところが幅広な白いベルトできゅっと絞られているワンピースタイプの可愛いサンタ服に身を包み、その短めなスカート下からは素足が覗いていて、ブーツの焦げ茶色と対照的にその白さが際立って見える。我が妹ながら……うん。馬子にも衣裳とはこのことであろう。これが、これが、あの「ダダダダダメ星人あきのん」なのだろうか……女って怖い……


「亜季乃、何でお前がここにいるんだ⁉」


「そりゃお兄がプレゼント配るの手伝うためだよー、一人じゃ大変だったでしょ?」


「ちょい待ち。何だよさっきからその「お兄」ってのは何だよ? いつもお前は兄貴呼びだろ? 最近ブックマしてくれた新たな読者様がいたら戸惑っちまうだろうが」


「え、だってその方が兄貴が喜ぶだろうからってミキしゃまが……」


「ミキしゃま……だと?」


 まーた今年もアイツの仕業か……昨年の黒ストッキングサンタコスミキしゃまの騒動はホント厄介だった(詳しくは現在期間限定で再び公開している昨年のクリスマスSSをご拝読いただければ幸いですっ!!! ちなそのさらに昨年のミニスカしほりんサンタSS・ビキニさらたんサンタSSも公開中ですっ!)


「うん。最近兄貴が現代の医療体制に喧嘩売ってる某取り違え子許嫁アニメに今更ながらはまってるから、多分そう呼んであげたらうれしいと思うよってさ」


「よ余計なことを~」

 

 残念ながらウチの亜季乃は理想の妹〇ちゃんとは程遠い。まず何がいちばんダメかって血のつながってるところがダメ。ずっと兄弟として暮らしてきて突然血がつながってないと言われて、妹と結婚したらすべてが丸く収まると言われてお互い意識してギクシャクツンデレイチャコラしてるのが超魅力的なシチュとはもう程遠すぎる。これはもうミキ「しゃま子」が悪い!


「お兄……いなくなっちゃ、やだよぉ……」

「チェンジぃイ! だめだだめだ! なんだそのクオリティの低さは! 全国の幸しゃまファンに謝れエぇっ!」

「はむぅ!」

「それは上手いな……てか、し、しほりんは、どうしたんだよ!?」

「えーっと、確か御朱印集めに忙しいとかで来れないって?」

「それは瀬〇さんだろっ!」

「あーじゃあ、イン〇タ映えに忙しい?」

「それはエ〇カ嬢」

「イブの夜中に新曲生配信?」

「それはアニメで出番なかったあ〇ちゃん」

「てへぺろっ」

「はーいはいはい、ワシはもう出かけますんでー似非妹は帰ってくださーい」


「アキを置いていかないでぇ~」


「chaaaaanngeeee!!!!」






 そう今宵は聖なる夜。しんしんと降り積もる雪の中、せめてどこかで、誰かの願いが叶っていますように……

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