第5章-1 ご注文は可愛いJCアイドルですか??

 学校から帰るとすぐにチャイムが鳴った。今日は勉強会の日ではない。こんな時間にうちに来るヤツなんて……もしかしていやもしかしなくてもしほりん!? 前にも突然の訪問があったので否が応でも期待してしまう。


「はーい、今開けまーす!」


 心がぴょんぴょんしそうになるのを必死で抑えながら玄関の戸を開けると、結論から述べるとそこにいたのはしほりんではなかった。


「いらっしゃ……って、なっ」


 俺は思わず一歩後ずさる。


「こんにちは、お邪魔します、お兄さん」


「あ、ああ、いらっしゃい……」


 どうも儚いカープの夢だったようだ。ふんっ、いいんだもん。3連覇したから!(また暗黒時代に逆戻りの様相ではあるが 森〇君新人王おめでとう&石原ジョ〇ソンおつかれさまでした! 個人的には、基本はぁ~センター返し~それがー小窪ーて〇やーをもうちょい見てたかった)


「「なんだお前か」的な心の声が漏れてますよお兄さん、もしくは「しほりんじゃないの!?」的な」 

 こいつエスパーかよっ! と心の中でツッコんでおく。むむむむーん

「……一体何を(on earth )言っているのかなあ? ええと……亜季乃はまだ帰ってないんだけど……」


「大丈夫です。今日はお兄さんに用があってきましたから」


「へ!? お前も?」


「も?」

「いやいやいやそうじゃなくて。が、だ。お前が!? だ。で、お前が、このド変態なお兄さんなんかに何の御用なの?」

「自分からド変態って言ってるなんて、もう末期ですね」

「ちげえよ。今のが皮肉(Irony)ってやつだよ!」

「そうなんですか。全然わかりませんでした。あまりに自然の摂理過ぎて。誰にもわからないと思うので今後そのギャグは封印したほうがいいですよ?」

「ギャグじゃねえ!」

「じゃあ一発芸とか?」

「違うから! で、何の用なんだよ?」


「そうです。その変態お兄さんに相談があってきたんです」


「へ?」

「もうそのギャグも飽きたんですけど」

「だからちげえ……もういい。よくわからんが、何の相談だよ?」

「あれ?」

「どうした?」

「こんな玄関先でお客さんの相手をするんですか?」

「お前、お客さんじゃねえから」

「じゃあ妹のお友達相手に、こんな寒々とした玄関先で立ち話させるんですか?」

 他人様の玄関を寒々とか言ってしまっている時点でお前もかなり失礼だな。


「ええと、とりあえず立ち話もなんだから、上がってください」

「わあ、ありがとうございます」

 めっちゃ棒読みだな腹立つな。

 しかし以前のように普通に?(いやこれは決して普通ではないはずだが)話していることにちょっとだけ安心している自分に気が付いた。


「一応わかってると思いますが、二人きりだからと言って女子中学生相手に変なことしないでくださいね」

「お前のそれ、むしろなんか変なことしてくださいって言ってるように聞こえてくるんだが」

「なっ、ちょっ……変態発言しないでください。必要じゃないことは喋らないでください」

「いつもいつもいらん嫌味ばっか言ってくるのはそっちだと思うんだが」

「……そうでしたっけ?」

 ちょっと小首を傾げてしらばくれてやがる。もう返事をする気も失せたわ。


「で、なんの相談だって?」

 俺はお茶を二つ注いでソファの机のところにどんと置いた。


「お兄さん明日ひまですよね」


「へ? あ、ああ一応」

「ていうか一週間ずっとひまですよね?」

「失礼な決めつけだな。俺にだって予定はある」

「どうせ大した用じゃないんでしょ」

 本当に失礼だな。深夜アニメの消化にブログの更新に……そういや最近滞り気味だな。

「正直お兄さんには頼みたくないんですが、致し方無いのでお願いしたいんです」

「頼み方まで失礼な」

「敬語って人を選ぶんですよねー」

「まあ仮に俺に時間があるとして、で、さっさとその内容を言えよ」


「明日から一週間、放課後に粟島の図書館に行ってほしいんです」


「粟島の? ちょっと遠いな」

「東館一階の純文学コーナーの奥の自習スペースの一番窓側です」

「お、おう。で、何するの?」

「行けばわかります。まあ明日だけは私も一緒に行きますが」

「勝手だなあ」


「ちなみにこのことは誰にも言ってはいけません。ばれるといろいろと面倒だから」


「それってヤバいバイトとかじゃないだろうな?」

「こっちは全然大丈夫です。問題ありません。ばれると面倒なのはお兄さんの方だけです」

「おいっ!」

「ちなみに亜季乃にも黙っといたほうがいいでしょうね」

「亜季乃にまで!?」

「ばれるとただでさえ風前の灯火状態の兄の沽券に関わるかと」

「本当にそれ大丈夫なのか? ちゃんと内容聞かないと俺やらねえぞ?」

「お兄さんにそんな拒否権あるんですか?」

「いやあるだろ普通に」

「あの二人に知られたらまずい秘密があったじゃないですか?」


 ん? 何のことだ? と思って、ああ、あの例の見せパン露出事件かと納得。(第1章ならびに第2章の3話参照)うん、2次元の尊さと雲泥の差だな。


「ああ、お前の……見ちまったことだろ? あんなの大したことない……」


「大した……こと、ないぃ?」


「す、すいません。ありますあります。言わないでくださいあの二人には!」

「うんうんよろしいよろしい」

「でもさぁ、本当にヤバイトじゃないんだろうな?」

「なんですかそのヤバイトってのは? まあいいです、お兄さんを安心させてあげるために言っといてあげます。しほちゃんの勉強を見てあげてほしいんです」


「へ? そんだけ?」


 思っていたのと全然違うお願いだった。拍子抜けというか、それって全然大丈夫っていうか、むしろ可愛い女の子しかも美少女現役JCアイドル相手に勉強を教えてあげられるなんて、もっと言うと勉強以外のことだって色々……いやいかんいかん、俺は立派な教育者としてだな。


「まあ詳しいことはしほちゃんに聞けばいいと思うけど、しほちゃん来週中間テストなのよ。だからテスト週間の間毎日勉強見てあげてほしいの」


「あれ、ちょっと時期早くない?」

 俺も亜季乃もまだテスト週間なんて話はない。


「しほちゃんの学校エリートの超お嬢様私立だから、そこら辺の公立とは訳が違うわよ」

「ああなるほど。別にいいけどさ、だったらいつもみたいにウチに来てくれればいいのに」

「毎日だらだらのほほほんと堕落した日常を消費し続けているお兄さんと違ってただでさえアイドル活動と勉学に忙しいしほちゃんに、ここまで来る無駄な時間と交通費を毎日払い続けろと、そう言うんですか? 鬼畜なお兄様?」

「言い方はひどいがまったくの同感、お前の言う通りだと思う。オッケー。俺が行くよ」

「ありがとうございます。あそこの図書館8時まで開いてるし、しほちゃん家そこから結構近いから送って行くのもそんなに時間かからないと思いますし」


「あれ? 俺が送って行くの?」


「8時なんて闇ですよ闇。超絶美少女アイドルのしほちゃんを一人で魑魅魍魎たちが闊歩する下界に放りだそうだなんてお兄さん何考えてるんですか!?」

「いや、前は送り狼うんたらなんたら言ってたからさあ。俺も信頼されてきたってことかな?」

「信頼なんてこれっぽちもないですから安心してください。でもきっと大丈夫です。お兄さんにはそんな度胸ないっていうところだけは信頼してますから」

「嫌な信頼だなおい」

「じゃあそういうことで。明日学校終わり何時くらいですか?」

「んーいつものごとく三時半位かな?」

「じゃあ四時くらいでいいですか?」

「まあ学校からチャリでそのまま行けばそんなもんだろ。大丈夫だ」

「じゃあ四時に粟島の図書館の前で待ち合わせってことで」





「南方氏、最近どうでござるよ?」

「最近かあ、なんだか疲れてるなあ俺」

「久々にゲーセン寄って帰らねえかい?」

「おういいねぇ。って今日だめだったわ、ちょっと放課後図書館デートが……」

「ぶへっ!」

 隣の太洋の口から盛大にタコの足のごとくに焼きそばパンの中のそばが束になって飛び出る。

「げほっ、げほ。と、図書館デートぉ!? モテなさ過ぎてついに妄想までこじらせ始めたでござるかぁ?」

 げらげらと腹を抱えて笑っている野郎を横目に、ああ、口を滑らせた弁解をする必要もないなと思った。 ふっふっふ。大いに笑っとけ! 俺は今日マジで放課後図書館デートデビューするんだぜぃっ! 晴れてリア充の仲間入りだZ!! しかも相手はそんじょそこらの女子じゃねえ。あの誰もが羨む超絶美少女アイドル! 顔よし歌よし性格よし!のしほりんとだZ!!! 大人っぽいから忘れがちだけど、まだ中学生の女子相手ってのがちょっと情けない気もするが、これもある意味先輩ステータスかっ!?

「先輩、ここわからないんですぅ」とか言ってほしい、いや今日だけでいいっ! 是非ぜひ言ってほしい! むしろ言わせてみたいっ!! 


「おおーい南方氏ーー早くこっちに帰ってくるでござるーー……」






「カープの夢」ネタは一期OPのニ〇動コメのネタなんですが古すぎて誰もわからん気がするw



※追記

 久しぶりにOP見に行ったんですが、もう昔過ぎてコメが消えてますねw ただ「カープの夢」で検索すると結構出てくる出てくるw 捕捉しますと、このごち〇さ一期のときは、広〇カープがまだまだ暗黒期、最も優勝に遠ざかってるチームという他球団からも同情を禁じ得ない状態だったのですが、それで歌詞中のカップの夢の部分の時、「カープの夢(優勝)」みたいな弾幕がめっちゃ流れてたんですけど、その頃はいつか優勝できたらいいね(笑)みたいな感じのノリが多かったんですが、(そのあとの歌詞で「おーしまい(中崎炎上)」みたいな感じで打ち消されるまでがワンセットw)その後、カープの夢(黒田復帰)とか、カープの夢(Aクラス)とか、まあ色々流れるようになっていって、そしてついにまさか本当に……優勝してしまったのでした。(その時の弾幕動画はニ〇動にあがってますねw) 


 カープ優勝はごち〇さのおかげだったのかもしれませんw

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