第16話 ひき子さん─ヒキコサン─
子供の頃は皆、不思議な物が見えていたと思う。
たとえそれが妄想だったり、イマジナリーフレンドだったとしても、だ。
そしてそれは怪異にも言える。
なぜか子供の間で流行る妖怪たち。
口裂け女、人面犬、テケテケ、メリーさん、赤マントに花子さん。
学校には七不思議。
たくさんの子供たちにの間で流行る怪異。
しかし、噂になっている怪異は、少なからず実在する。
そして雨の日。
久々に見てしまった。
しかも、やばい奴を。
大人の俺には奴は興味を示さないが、子供には容赦なく遅いかかる。
引き子さん。
しかし、ただの子供の間での怪談話が現実になり得ることがあるのだろうか。
その時、祖父の言葉を思い出した。
祖父曰く。
みんなが拝んでる仏像だの経文だの、十字架だのなんてぇのも、結局は人が作った物で、それを数えきれない人たちが信じたから力を得たんだ。
なら、沢山の子供たちが信じたものが実態を持ってもおかしくはない。
雨の日に、見つけた子供を見つけては引きずり回し、ボロボロの肉塊にしてしまうという妖怪。
元はいじめられっ子で、いじめっ子にトラックの後ろに括り付けられ、それを知らずに走ったトラックに引きずり回されて死んでしまったらしい。
悲しい妖怪。
しかし。
気がつくと、目の前にいた。
俺の手を掴み、思い切り引っ張ってきた!
力が余りにも強く、引き剥がせずに少しずつ引きづられる!
対処法、対処法は!?
確か
鏡!俺は抵抗しながらも、角にある、車用のカーブミラーに奴を誘導する。
「!?」
鏡をみたひき子さんは、自分の顔を隠しながら、去っていった。
こういう、子供の作り出す妖怪には、必ず対処法が付いて回る。
それも、対処法を信じている子供たちの力だ。
今回は助かった。
が、しかし。
ひき子さをのことを忘れず、怖がる子供たちがいる限り、彼女は成仏することはできないのだ。
永遠に…。
この話を聞いた人は、気をつけたほうがいい。
なにせひき子さんは、話をきいて3日以内に姿を現わすそうだ。
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