第11話 人面犬─ジンメンケン─
一時期流行った人面犬。
人面犬、人面魚、件のように人頭獣身の化け物のは意外と多い。
その中にあって件などは、予知をするともされている。
友人がある日、僕を尋ねてきた。
件は予言するんでしょ?
なぜ他の人面犬とかはしないんだろうね。
ふとした疑問だったのだろう。
たしかにその通りで、僕も気になってしまった。
祖父の言葉にヒントがあるような気がして、頭の中を探してみる。
祖父曰く。
昔から人頭獣身の化け物と言やぁ、災厄の前触れと相場が決まってんだ。
中国の化蛇だ、燭陰だなんてのもおる。
人面犬にしろ、人面魚なんてのにしろ、バブルの崩壊でも予見してたんじゃねいえか?
その後やれ就職氷河期だ、リーマンショックだ、少子高齢化、震災に原発問題。ろくなことがありゃしねぇ。
動物は未来が見えるのだろうか?
人間に知り得ないことを知るすべを持ち、なんらかの形で人間に警鐘を鳴らしために現れるのだろうか。
しかし今はいない。
人面犬なんてそんなものはただのフォークロアで、なんの信憑性もない。
夜な夜な聞こえる鳴き声。
情けなく鳴く犬の声にも聞こえるし、人の赤ん坊のようにも聞こえる。
つい。
気になってしまった。
意思とは無関係に体は外を歩く。
そして。
「あんたかい、波長が合っていたのは」
話かける男の声。でも人影がない。
暗闇の向こうに相貌が見えるだけだ。
「おっと、俺の姿を見ない方がいいぜ。ショックで死んじまうわ」
カラカラと笑うその生き物はなんなのか。
「なぁにとって食おうて訳じゃない、波長があう人間がいたから、良い事を教えてやろうと思ってな」
僕はなにがてきるでもなく、ただ話を聞いていた。
「あんた、死ぬよ?近々」
頭に鈍器で殴られたような衝撃ごはしる。
でも、体は金縛りに合い、声も出せない。
「ま、もし死にたくなけりゃあ」
その生き物は階段を上っていく。
その先は神社のようだ。
「この神社をお参りして、掃除でもするんだな」
それきり、声も姿もなくなって、気がつくと家のベッドの中だった。
すぐさま飛び起きて、昨日の神社に行った。
お参りをして、できる限りの掃除をして。
そして、この神社の由来を見てしまったのだ。
普賢神社。
いわゆる犬神払いのできる神社である。
人面犬は、犬神と関係があるのか?
もしくは犬神憑きとして死んでしまって、成仏できていないのでは…
人面犬などとあなどっていたが、犬神と関係があるのなら、それは脅威なのかもしれない……。
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