落ちこぼれのエルフ③
「ご主人様。何でルナを選んでくれたのですか?」
安さが売りの大衆食堂で、ルナと共にご飯を食べていると、ルナが質問を投げかけてきた。
「そうだな。お前の才能に惚れたから?」
「ル、ルナの才能ですか? 弓も魔法もへっぽこですよ?」
「それは知っている」
「はわっ。酷いのです」
俺が惚れたルナの才能。それは――【神の瞳】で見れば一目瞭然であった。
(ルナ……エルフ……生命力C……耐久D……腕力C……魔力F……精神F……敏捷B……バストE……身長一五八……体重四三……炎適正F……氷適正F……風適正F……土適正F……剣術適正S……弓術適正E……動体視力S……行動予測S……優しさA……頭耐久D……腕耐久C……善人A……)
目の前の自称へっぽこエルフは、実はSランクの適正が三つもあったのだ。この世界に転生してから、Sランクの適正を持った人材はルナを除けば二人しか知らない。
適正というのはあくまで才能による限界値だ。剣術適正がSであっても、技量がそれに伴っているとは限らない。【神の瞳】で細かく見れば、(剣術適正)という項目以外にも、(剣術)という項目もある。ルナの(剣術)はFだった。
ちなみに、俺調べではあるが、Fランクは才能皆無。Eランクは才能なし。Dランクは一般。Cランクはプロ並み。Bランクは凄腕。Aランクは達人。Sランクは規格外となっている。
多くの冒険者はDランク~Cランクでこぢんまりと纏まっており、時々Bランクの凄腕が存在する程度であった。
つまりは、目の前の自称へっぽこエルフは、鍛え方次第で規格外の戦力になると言うことだ。
「ご主人様。ニヤニヤしてどうしたのです? はわわ!? ま、まさか、ル、ルナのエルフでは規格外と罵られた胸を狙って――」
「ねーよ!」
エルフらしからぬ、たわわに育った胸を両腕で隠しながら震えるルナに、俺は力強く否定の言葉をぶつけるのであった。
飯も食い終わったので、ルナの剣でも物色しに行くかと席を立ったところで、見知った銀髪の狐耳が視界に入った。
お!? あいつは……。
「おっす。久しぶり。お前って実は凄い魔法――」
「なっ!? お、お前はいつぞやの変態!?」
久し振りに再会した狐耳の少女――カエデは、俺の姿を確認すると、大きな悲鳴をあげる。
「ちょ!? おま!? いきなり、人を変態扱いするんじゃねー!」
「ウルサイ! 変態! 私の苦労も知らない癖に!」
「お前の苦労? 知らねーよ!」
「キィィイイイ! 変態の癖して生意気ね!」
俺とカエデの口論は、口喧嘩へと発展。
「あ、あのご主人様……」
ルナが俺の後ろからおずおずと声を掛けてきた。
「ルナか。すまん。アホに構って時間を無駄にした」
「誰がアホよ! 誰が!」
「鏡を見てこい。そこに答えがあるぞ」
「はぁ?」
俺とカエデが一触即発の雰囲気になると、ルナがまたしても口を挟む。
「ご主人様。先ほどは失礼しましたです。ルナの胸を……等と、失礼な事を言ってしまい。ご主人様は立派なロリコン――」
「違ぁぁぁああう!」
「ほーほっほっほ。ほら見なさい、やっぱりお前は変態だったのね」
ルナの超弩級の失言に全力でツッコむ俺と、口に手を当てて愉快そうに笑うカエデ。
「もういい。ルナ……いくぞ!」
「は、はいなのです」
恥ずかしさと悔しさで、顔を赤く染めた俺は大衆食堂を出て、武器屋へと向かうのであった。
◆
以前、アルトから勧められた武器屋へと辿り着いた俺はルナが扱う剣を物色していた。
「あ、あのーご主人様?」
「ん? どうした?」
剣を一本ずつ【神の瞳】で鑑定している俺にルナが声を掛けてきた。
「ご主人様は剣を使うのですか?」
「いや。俺のじゃない。ルナが使う剣を探している」
そもそも、俺は魔法主体だ。剣の扱い方なんぞ知らん。
「はわわっ!? ル、ルナの剣です? あ、あの、ルナは確かに弓も魔法もへっぽこですが、剣に至っては触ったことも無いのですよ」
「なるほど。一度も触ったことはないのか。逆に考えれば、剣に関しては天賦の才を秘めている可能性もあるな」
秘めている可能性というか、【神の瞳】で確認したから、秘めていることは確定だけどな。
「はわわ!? そんな才能ないのですよ。剣を扱えるエルフなんていないのですよ」
「まぁまぁ、騙されたと思って一回使ってみろって」
「むぅ。でも……」
「とりあえず、一回だけ。厳しかったら今後無理強いはしないから」
「わかったのです。ご主人様の命令であれば、従うしかないのですよ……」
ルナは不承不承と言った感じで、ようやく折れた。
「んじゃ、この剣を買うか。握った感じとか、どうだ?」
俺はそう言うと三万Gの剣をルナに手渡した。
「はわわわ!? お試しなら、もっと安い剣でいいのですよ!?」
「安物買いの銭失いって言葉もあるだろ? その剣が一番、コストパフォーマンス高かったんだよ」
「はわわ!? ご主人様は時々変な言葉を喋るのです。同じ値段の剣なら……あっちの剣の方が可愛いのですが、了解です! この剣は何か手に馴染むのです。ルナはご主人様を信じて、この剣を使ってみるのです」
ルナは数回素振りをして、しっくりきたのか笑顔を浮かべる。こうして、俺の見立てた剣を購入。その後、試し切りを兼ねて首都の郊外へと向かったのであった。
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