DX3rd リプレイ：リメンバー・ミー

シーン9：ガラスの竜と勇者様/バックトラック

久人：シーンイン！　（ころころ）1点上昇、99％！

GM：老医者に礼を言い、院長室を後にする。

　相変わらずの日差しとそよ風に出迎えられると、少し焦った様子の彩が横から話しかけてきた。

彩：「ヒサト！　ごめんね、もどってきてすぐに。えと……このちかくに、“シックス”がいるかも。たぶん、まえよりおおきいのが」

久人：「……やっぱり来たか。教えてくれてありがとう、彩。大丈夫。今の俺なら、きっと負けない」

　彩の頭に軽く手を載せ、頼もしく笑う。

彩：「うんっ」

　その言葉にこくりと頷き、キミの手を引き先導を開始する。

GM：彩に導かれ、キミたちが訪れたのは公園のような場所。

　《ワーディング》の強い嫌悪感で満たされた其処（そこ）には、当然、人など存在しない。

　システム的にはEロイス『虚実崩壊』、『悪意の伝染』が使用されています。

　在るのはただ、暴力的に荒れ狂う嵐と――その中央に座し、キミたちをその双眸（そうぼう）で見つめる硝子の竜。

“シックス”：「…………」

　嵐を物ともせず、ただ静かに低く唸る。

　その威容が示すのは、明確な敵意。

久人：「彩、俺の後ろに……やっぱりお前か、硝子の竜。

　……俺は強くもないし、正直、勇者なんて柄じゃない。実際、俺はあの子を救うことだって出来なかった。

　けど、そんな俺にだって出来ることがある。勇者になれなくても、友達を救えなくても。

　それでも――夢を描いて、彩を救うことくらいなら！　今の俺にだって出来るはずだ！　だからッ！」

　取り出したペンを、エフェクトで生み出した紙に走らせる。

「来い――終焉の白騎士！！！」

終焉の白騎士：「オォオオオ――！」

　天高く掲げられたイラストから、久人の描く勇者が――終焉の白騎士が降臨する！

久人：「行くよ、彩。俺の絵で、キミの笑顔を守ってみせる！」

彩：「っ……わたしも、ヒサトたちみたいに、たたかえなくても」

　後方から、硝子の竜を見据える。その瞬間、嵐の風向きが……ほんの少しだけ変わった気がした。

「わたしだって、できることをするんだから……！」

“シックス”：「……Grrr……■■■■■ッッッ――！！！」

　一際大きな咆哮が、その空間全体をも揺らす。

　爛々（らんらん）と輝く赤い眼光が、キミたちを完全に捉えた――。

GM：それでは、クライマックス戦闘を開始します。

　戦闘終了条件は『“シックス”の撃破』。エネミーは“シックス”が1体。彼我の距離は5mです。

　また、この戦闘ではNPCのサポートが使用可能になります。詳しくは以下に。

◆NPC効果：彩

《盲目の羊》Lv２

　タイミング：オートアクション

　効果：対象が判定を行う直前に使用する。その判定のダイスを-３個する。この効果は１ラウンドに１回、シナリオ中２回使用できる。

《力の霊水》Lv２

　タイミング：オートアクション

　効果：対象が行うダメージロールの直前に使用する。そのダメージを+２Dする。この効果は１ラウンドに１回、シナリオ中１回使用できる。

GM」：これらは久人くんの任意のタイミングで使用できます。

　また、彩は戦闘から除外され、NPCサポート意外のあらゆる宣言や効果の対象になりません。

　ちなみん、衝動判定は省略となっております。ここまで、何か質問はありませんか？

久人：大丈夫です！　頑張るぞー！

GM：では……ラウンド進行を開始します。セットアップ！

久人：セットアップ/『ドローイングナイツ』/《原初の黄：得意領域》/ラウンド間の〈RC〉判定+6D。

　終焉の白騎士を描き出し、“シックス”と対峙する！

GM：イニシアチブ。行動値24で“シックス”の行動です。

“シックス”：まず、こちらは《飛行能力Ⅱ》により常に飛行状態となります。

　その上で、マイナーは放棄。

　メジャー/コンボ『竜の息吹』/《コンセントレイト：キュマイラ》+《魔獣の本能》+《魔獣の衝撃》+《天を統べるもの》+《実体なき一撃》+《ブラッドバーン》+《獣の魂》/装甲無視の射撃攻撃。HP5点消費。

　命中判定！　（ころころ）達成値……59！

久人：殺意あるなぁ……ドッジに挑戦しますが（ころころ）達成値17。頑張ったけど命中です。

“シックス”：ダメージロールは（ころころ）58点ですね。

久人：戦闘不能になるので、ここは『記憶の中の少女』のロイスをタイタス昇華、復活します。

“シックス”：大きく息を吸い込み、そのまま乱気流を生み出すように吐き出す。

　周囲の雨や砂煙をも巻き込む一撃は完全にキミたちを捉え、吹き飛ばし、食い荒らす！

久人：「ぐあぁッ！」

　吹き飛ばされ、地面に転がる。そのまま意識が暗転しそうになるが――脳裏に、セピア色の風景に立つ少女の笑顔が過ぎる。

「――ッ！」

　大きく息を吸い、立ち上がる。こんなところで、彼女に情けない姿は見せられない！

GM：ではイニシアチブ。行動値8で久人くんの手番です。

久人：マイナーは放棄。

　メジャー/コンボ『ダンシングナイツ』/《コンセントレイト：ウロボロス》+《ダンシングシミター》/攻撃力+12の射撃攻撃。

　命中判定は（ころころ）達成値28。意外と低い！

“シックス”：此方は《イベイジョン》によりドッジ達成値が22で固定となります。命中です。

久人：危ない……ダメージロール！　（ころころ）31点！

“シックス”装甲値2点を差し引き、29点を受けます。

久人：「キャノン！　ソード！」

終焉の白騎士：「オォオオオ――！」

　久人の指示に従い、右手の砲口から光弾を連射。“シックス”に次々と叩き込み、左手の剣で斬り結ぶ。

“シックス”：「■■■■■ッ！」

　嵐の壁と外殻を抜け、光弾が命中し煙を上げる。

　一合、剣と斬り結んだ後、暴風に乗るように距離を取る。まだ幾分か余裕がありそうだ。

GM：クリンナップ……宣言はありませんね。

　では2ラウンド目、セットアップ！

久人：セットアップ/『ドローイングブレイブ』/《原初の黄：得意領域》/ラウンド間の〈RC〉判定+6D。

GM：行動名が変わった……！？

　イニシアチブ。行動値24で“シックス”の手番です。

“シックス”：マイナーは放棄。メジャーでコンボ『竜の息吹』。

久人：ここでNPCサポートを宣言！　《盲目の羊》を！

彩：「“ながれ、ゆるやかなれ”！」

　手をかざす。その瞬間、竜の周囲に渦巻く風が、少し解けるように霧散していく。

“シックス”：では命中判定を（ころころ）達成値36。結構下がった！

久人：ドッジに挑戦！　（ころころ）達成値16……くっ！

“シックス”：（ころころ）36点ダメージです。

久人：戦闘不能『漫画家の夢』のロイスをタイタス昇華して復活します。

“シックス”：嵐を乱されたのを見て、硝子の竜はその風弾を小型に変化させる。

　一発一発はそれほどの威力を持たないが、風の奔流に乗り、あらゆる方位からキミたちに襲い来る！

久人：「ッ――」

　全身に風弾を受け、膝を折りそうになる。しかし、それでも。

「諦められるかよ……これはもう、俺だけの夢じゃない。こんなところで、終わってたまるか……ッ！

　俺は、漫画で人を笑顔にするんだ……俺にしか、俺たちにしか出来ない、夢を描くんだ！」

　膝に手をつき、食いしばる！

GM：イニシアチブ。行動値8で久人くんの手番です。

久人：行きます！　マイナーは放棄。

　メジャー/コンボ『ダンシングブレイブ』/《コンセントレイト：ウロボロス》+《ダンシングシミター》/攻撃力+12の射撃攻撃。

　命中判定は……（ころころ）達成値21？　なんでや！

　ここで当てなきゃ後がない！　『“プランナー”』のロイスをタイタス昇華。達成値を振り足します。（ころころ）よし、達成値30まで上がった。

　そして、ダメージロール直前にNPCサポート《力の霊水》を宣言。さらに！

　ここで彩のロイスをSロイスに指定。即座にタイタス昇華し……ダメージロールに+5Dします！

彩：――不意に、キミの背中を叩く雨の質が変わる。

　優しく包み込むような活力が、雨から全身を駆け巡る。

「っ……ヒサト！　がんばれ！」

　背中越しに、声がかかる。気づけば、嵐は――キミを乗せる追い風に変わっていた。

久人：ダメージロール！　（ころころ）76点ダメージ！

“シックス”：装甲値で2点引いて、74点を受けます。そしてこれは……HP0、戦闘不能です！

久人：「彩……！」

　事ここに至って、久人は自身の勘違いに気づいた。

　今、一緒に戦ってくれているのは誰か。応援してくれているのは誰か。描くべきは、誰のための勇者か。

久人：「……ありがとう。今なら、傑作が描けそうだ」

　勢いよくペンを引き抜き、紙に走らせる。

「俺たちの願いを背負って立つ者。来い――起源の黒勇者！！！」

起源の黒勇者：「――――」

　それは、弔意を表す黒き鎧を纏う者。久人が生み出した、完全新作。

久人：「行け！　俺たちの勇者！　夢に向かって、翔べ――！」

　翼を広げ、勇者は翔ぶ。目指すは嵐の向こう、硝子の竜。

　風を突き破り、久人、天、彩――3人の願いを追い風に。

起源の黒勇者：「ハァアアア――！！！」

　最後に一度、大きく羽ばたき。勇者の放った渾身の一撃は、確かに硝子の竜を捉えた。

“シックス”：「■■■■■ッッッ――！」

　放たれた一撃。一瞬、世界そのものが砕ける様な音が迸ると同時、竜の巨体は浮力を失い墜落した。

GM：戦闘終了、久人くんたちの勝利です！

GM：それでは、バックトラックに入ります。

　まずはEロイス。このシナリオでは2つが使用されました。Eロイス分の侵食率を下げますか？

久人：下げます……！　（ころころ）お、15下がって、現在100％ピッタリですね。

GM：続いて、残存ロイス確認……残り2つですね。通常振りか2倍振りを選択して、バックトラックをお願いします。

久人：はい、ここは通常振りで。（ころころ）13下がって、87％です！

GM：帰還確定ですね。おかえりなさい！

久人：ありがとうございます！　ただいまです！