第87話 否決が落ちて可決となる?

八千草美悠が

美名城と高坂を呼んでお店の外で話を始めた。


菊池は八千草に

「何話してるんだろうね?」

と聞くと

「うーん、なんだろう?

もう体育祭の話では無いと思うような感じするけど・・・」


すると翔の

「もしかして、俺の告白が届いていたのか?」

のボケに菊池がきっぱり

「いや、それだけはないから」

と完全否定した。

「それだけはって!(涙)」



すると孝也が

「実はだな、今俺のカメラがチャリのかごの中にあるんだけど

このスマーチョフォン(携帯)で電源をオンにできるぞ。」


「うん?それで?」


「つまりだな、録音で起動させれば、

先輩たちの話を聞こうと思えば聞くことができるということだ。」


「えーーー、ちょっと孝也、あんたって、まさか」


菊池らからの盗聴目的での疑いに


「いやいや、違うぞ。

カメラの画像をスマチョの画面で

すぐに確認できるようにって連携させているだ。

今、翔殿の話を聞いて

ふとその真実を暴けるのかもと思っただけだ。」



翔は興味深そうに

「その真相、暴いてくれ!!」

と孝也に頼んだ。


「ちょっと待って!それはいくら何でも

盗聴になっちゃうから!!

ね、みんな?」


菊池の言葉に頷く八千草と駿、太郎


翔は

「さっきまで菊池さんも知りたがってなかった?」


「いや、まぁ、気にはなったけど・・・」


すると孝也が

「三対二では可決にいたらず!

すまんな翔殿。このボタンを押せば可能なんだが・・・」


さすがの翔も

この状況では諦めざるをえなかった。



その瞬間、



ガタガタガタ



地震だ!!


揺れはほどなくして止んだ。


しかし、

地震の揺れによって

チャリに置いてきたカメラの電源が入っていた。

ただ、孝也のスマチョから作動したわけではないため、

録画モードにはなっていない。



皆、突然の地震に驚きつつも

揺れがそこまで強くなかったことに安堵していた。


外の先輩たちは

どうやら地震の揺れに気がついていない様子。



八千草が

「お姉ちゃんたちは地震があったことに

気付いてないみたい。」


「じゃあ、私が伝えてくるよ。」

菊池が地震があったことを伝えに行こうと

立ち上がったとき、


テーブルに菊池の脚が当たった。

その衝撃で

孝也のスマチョが床へと落ちる。


「あ、ごめん!!」


「ふふふ、大丈夫。

こんなことがあってもいいようにと

我がスマチョは頑丈装備なのだ。」


そうしてとったスマチョから




「夏帆、そういえば

そろそろ彼らが帰ってくるって聞いた?」


「うん、聞いてる。そうなんでしょ?」


「はい、先輩たちなので伝えますが、

まもなく帰ってきます。」


「それは、忙しくなるわね・・・・」



とっさのことだったとはいえ、

八千草姉→美名城→高坂のやりとりの一部が

聞こえてきた。


孝也はすぐさまスマチョのボタンを押して

録画モードをオフにしたが、

間に合わず。



「もしかして今のって先輩たちの声」

菊池が驚いた表情でつぶやく。


孝也が

「すまん。今、スマチョが落ちた衝撃で

作動してしまったようだ。」


不可抗力によって

聞こえてきた一部は

ここにいたいつメンにとって

気がかりな内容として残った。



「彼らが帰ってくる??」

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