第64話 なぜか視界に入ってくる彼

柊木は青組スタンドで

菊池と八千草と話をしている駿の様子を見て


確かにあいつはイケメンだ。

スタイルもいい。

頭は・・・

知らないがようさそうな顔立ちをしている。

しかも帰宅部のくせに足が速い!

紙一重の戦いとはいえサッカー部の先輩も負けていた。


くそ、

気にくわねえ!

普段からこれといって

辛い練習とかにも耐えているわけでもなく、

きっとのうのうと過ごしているんだろう。

ああやって女子たちと

イチャイチャおしゃべりばっかりしているんだろう。


高坂先輩をあんなチャラ男に

近づけさせていいわけがない。

高坂先輩は今、惑わされているんだ。

放送担当で身近に生徒たちを見てしまう分、それは致し方のないこと!

よし、午後一番にあるリレー対決で

君(100m一位)と俺(200m一位)で

どっちが高坂先輩にふさわしいか決めよう!!!



駿はこの時

「うゎ、なんだ?」


「どうしたの?急に??」

菊池が驚いた表情で聞くと


「それが、なんだか、

誰かからこう、睨まれたような気がして」


「え、何それ?駿くん目立ったから

誰かから好意を持たれてるのかもよ?」


「だといいんだけど・・・」




テント下で高坂は葛藤していた。


どうしてだろう・・・


つい視界に入れてしまう太郎の存在


別にかっこいいわけでもないし、

運動神経がいいわけでもないし、

むしろ悪いし、

態度は一年とは思えないほど

ふてぶてしいし、

これといって彼を意識する理由がないのに、

遠くにいてもなぜか視界に入ってくる。


きっと

私が尊敬する美名城先輩、八千草先輩が

気にされたから、だよね。

どうして先輩たちはあんな男を

気にするんだろう?


ダメ、これは何の特にもならないわ。


もう私が彼と関わることはないわ。



赤組の優勝を信じて

今は放送に専念しましょ!!


高坂が太郎への葛藤に終止符を打つよう

覚悟を決めたその後、

様々な競技や種目が順に行われていき、

午前の種目が全て終わる。



お昼休憩だ。



お昼休憩は主にクラスごとではなく、

それぞれの組の集会場所に集まり、

午後の種目やパフォーマンスの打ち合わせを行う。


いわゆる本番前の最終チェックである。


赤組は体育館

黄組は武道場

青組は視聴覚ホール

に集まった。



青組は100m走の結果を受けて

急遽リレーのアンカーに駿を抜擢することとした。


「なんだよ、俺にも声かかれば頑張って走りますよ!」


「何をとぼけてるのかしらタロちゃんは。

タロちゃんはこの青組で最後の選択肢よ。」



太郎に声がかかることはないということを

伝えた美名城だった。


「でもタロちゃん、

パフォーマンスの時は一仕事お願いね。」


「一仕事って・・・

美名城先輩はほんと人遣い荒い」


「うん?何か言ったかな??」


「あ、いえ、異論ございません。喜んで承ります。」


「タロちゃん、よろしい♪」



ここまでのそれぞれの組のトータルは


孝也と菊池が出た綱引きや

太郎と八千草が出た二人三脚など

様々な種目が終わり、

順位は

一位黄組88点

二位赤組82点

三位青組81点

と全ての組が同じ80点台をマークする大混戦となっていた。





そしてリレーが一位30点、二位25点、三位が20点

最終種目のパフォーマンスが50点満点で採点される。




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