「職業:事務」の異世界転職! ~冴えない推しキャラを最強にします~
ゆちば/角川ビーンズ文庫
人物紹介/プロローグ
◆◆◆人物紹介◆◆◆
□
元・病院の事務職。
隣人の栗栖おばあちゃんに導かれ、《ユグドラシル・サーガ》の世界に転職!
□ヴァルドロイ
しいなの最推しである魔法剣士。
微妙なジョブと途中で仲間入りする設定のため、世間では半端キャラ扱い。
通称:ゲーティアアーマーさん。
□モネ
盗賊。色っぽいお姉さん。
□アストール
格闘家。陽気でノリのいい性格。
□ランスロット
聖騎士。堅物。
□レオナ
弓射士。人懐っこく、お洒落に気を遣っている。
□マートン
鍛冶師。素材を組み合わせてアイテムを創る。
□モンド
商人。武器や道具の仕入れを行っている。
□フォルテ
義勇軍のリーダーであり勇者。
□キャンディ
アクセサリー職人。特殊な効果を持つ装飾品を作る。
◆◆◆
小さな教会の
男性は、
「あれはどこにいった? ……そうか、お前が持っていてくれたのだな」
男性が女性から受け取ったものは、白い花で作られたブートニアだった。そして、男性はそのブートニアを胸ポケットに差し込むと、
「っと! お前はいつも転びそうになるな」
男性に手を引かれ、女性は
女性の顔は見えなかったが、後ろ姿だけは
「もう泣いているのか? 気の早い
男性が女性の目元を軽く
「ああ。お前には笑っていてほしい。……分かった分かった。今日は俺も笑顔に努めよう。せっかくの晴れの日だからな」
赤髪の男性は、眼鏡を押し上げながら、
ゴォォォンと
「行こう。皆が待っている」
愛し合う二人が歩き出し、教会の
◇◇◇
「待って! ヴァルド様! その女の人、
もしかしなくても、今いる場所は自分のベッドであり、自分の部屋である。つまり、夢オチというやつだ。
「うわ……。入社式の朝から、なんて夢見てるの。私」
清原しいな、二十二歳には、高校生の
しいなにとっては
幸い、ゲーム内課金システムや、ドラマCDや
とくに、ヴァルドロイの初期デザインや、服の構造、身長や体重の
あぁ……。こんな調子だから、
しいなは、
「う~ん。でも、タキシードヴァルド様ってば、最高にかっこよかった!
きっとこれは、「仕事を
そして、しいなは掛布団をポーンッと投げ出すと、立ち上がって出掛ける
今日は、しいなの初めての出勤日。
しいなは初めての仕事に、期待と不安の入り混じった気持ちを
やってやる! ヴァルド様みたいに、戦い
しいなは就職活動の面接で、「目標としている人物は誰か」と聞かれれば、心の中ではヴァルドロイのことを思い浮かべていた。彼は、しいなの
ヴァルドロイは決してゲーム内で目立つキャラクターではない。主人公でも、その宿敵でもなければ、強力な武器やスキルを持っているわけでもない。いわゆる、主人公の仲間の一人。しかも彼は、登場時期も
しかし、しいなはそれでも構わなかった。目立たなくても、誰かの力になろうとする。そして、自分の信念だけは絶対に曲げない。
「たとえ国から
というヴァルドロイの
「いってきます、ヴァルド様!」
しいなは、
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