第十五話 犯人候補
それから私は
それ以上に彼が
「それで……あなたの名前は……?」
私に
朝早く、いきなりノックも無しに部屋に入って来られたらそりゃ機嫌も悪くなるよね……。
これは
「……ソニック」
「えっ?」
「俺の名前はソニックだよ」
キツイ目つきで私を見ながら言うソニックと名乗った少年。
私は、名前を教えてくれたことが
「バカっ!? そんなに近づくな!」
そんな
「ごめんごめん。じゃあ、改めてよろしくね、ソニック」
「ケッ、何がよろしくだよ」
相変わらず荒っぽい口調だけど……。
でも、それでもいい……。
だって彼は――ソニックは、私に名前を教えてくれたんだから。
「まだ居たんすね。吸血鬼」
私たちが話していると、ラビィ姉が兵士たちを連れて
そして、兵士たちが部屋に入ると、突然ソニックのことを
「な、何すんだよ!?」
彼は私とそう変わらない子供だ。
大勢の大人たちに
「
ラビィ姉がソニックに向かって、まるで汚いものでも見るかのような冷たい
私は一体何が起きているのかは、よくわからなかったけれど。
じっとしてちゃいけないと思い、ラビィ姉の目の前に立った。
どうしてソニックを
「まだそいつが犯人と決まったわけじゃないっすけど。一応
ラビィ姉が言うに、
そこは
「だからってなんで俺なんだよ!? 大体俺は
ロープで
……なんとかしなくちゃ。
ソニックは犯人じゃない……はず。
だって、もしそんなことをしたのなら、部屋でゆったりと
それに……。
せっかく名前を教えてもらえたんだから。
「待ってよ、ラビィ姉! 彼じゃない、ソニックじゃないよ!」
すでにソニックを連れて行った兵士たちの後を追いかけようと、ラビィ姉は部屋から出ようとしていた。
私はその背中に向かって大声で
振り返ったラビィ姉は、私のことを見つめて大きくため息をつく。
「あいつに
「うっ」
別に
たしかに、ラビィ姉の言う通り私はチョロいかもしれない。
だけど、私はソニックを信じたい。
お
「ラビィ姉、ソニックは犯人じゃないよぉ。お願い、信じて……」
「まあ、まだあの吸血鬼が犯人と決まったわけじゃないっすから……でもっすよ。あいつがビクニの
……そうだ。
朝起きたら私の
今まで何をやっても外せなかったものを、初めて取ることができたのはソニックだけ……。
でも……それでも彼じゃないって信じたい。
「私……なんとかしてソニックの無実を
私がそう大声を出すと、ラビィ姉はさらに困った顔をするだけだった。
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