第十二話 お目覚め
それから私は、
そこで
「別にラビィ姉の言ったことを
「あの方の甘さは
このライト王国に住む人たちはみんな
私とリンリがバハムートに
ライト王も右の肩から腕を失う大ケガをしてまで助けようとしてくれた……。
とっても
いくら世界を
今も笑顔で
腕を他人のために……。
しかも初対面の子のために犠牲にしちゃうって……。
ラヴィ姉がライト王のことを
「ビクニよ」
「は、はいっ!」
いきなり声をかけられた私は、思わず声が上ずってしまった。
「わしは
お
いや、ライト王だけじゃなく。
周りにいる兵士たちも王と同じように、
……そんな泣くほどのことじゃないと思うんだけど。
他人の心配なんてあまりしない私だけど、やっぱりこの国の未来が心配になる。
「どんだけ涙もろいんだよ……」
私はつい
その後――。
吸血鬼の少年には、住む家が
「
「ふ~む。では、ラビィはどうすれば
そうライト王に訊かれたラビィ姉は、この少年は兵士たちが寝泊まりしている
「しかし、いくら王国の兵に優しい者が多いとはいえ、こんな
私は
だって、ここまで
いくら子供だから、食べものを盗んだ奴のことを、ここまで心配する王様なんているはずがない。
もし、私が他の国に召喚されていたら、タダめし食らいの
ラッキーだったな、私……。
それからもライト王とラビィ姉は話し合いを続けた。
ラビィ姉的には両手に
ライト王は「それではまるで
周りの兵士たちも「やはり
私は「おいおい、罪人だよ、この子」と言いたかったけど。
うまく言葉にできなくて、
その様子を見て、
そして、
吸血鬼の少年は兵舎に住むことになり、手錠や鉄球と鎖の足枷は付けないこととなった。
それから、私はラビィ姉と共に兵舎へと少年を連れて行く。
ライト王とラビィ姉の話し合いが長かったのもあって、すっかり日も暮れて時間は夜になっていた。
だけど、兵舎は城内にあったのであっという間に目的地へと
ライト王の前でも、移動中でも
それを
そして中に入ると、部屋にポツンと置いてあったベットに少年を
「いってぇ!」
その
「やっとお目覚めっすか。じゃあビクニ。あとは
ラビィ姉は、少年には私からいろいろ
いきなりそんなことを言われてもと、まごまごしている私を少年が
「お前……もしかして……あのメイドから俺のこと……助けてくれたのか?」
「えっ! あ、いや、まあ……そうだけど……」
うまく話すことができない。
思えば同い年くらいの男の子と二人っきりで会話したことなんて一度もない。
手に汗が
「余計なことするなよ! 俺はお前の物を盗もうとしたんだぞ! そんな奴をなんで助けたんだ!」
大声で
その
だけど……ここは
「い、いや……そ、その……わ、私は……あ、あ、あなたがどどど、どうしてこの魔道具を外せたのかを……って、えっ!? ど、どうしたの!?」
なんとか口に出せた私を無視して、少年はベットで横になった。
私に背を向けて……。
「もう寝る。頭がガンガンするんだ」
「そ、そう……じゃあ、また明日ね……」
私はそう言うと、部屋の扉を閉める前に「お大事に」と言ってその場を後にした。
そして、寝室までの帰り道を、自分の情けなさに落ち込んだままトボトボと歩いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます