第十話 久しぶりの全力
私は
いや……たとえジャージ姿で
あの黒く
一応、
私は走り
これでだいぶ走りやすくなった。
その姿は、我ながら結婚式場から逃げるウエディングドレス姿の
息をハアハアッと切らし、そんな
こんなときにとは思うけど、しょうがない。
私にとって、妄想をすることと鼻と口から
「待て~! 私の魔道具を返せ~!」
「くそッ! まだついて来んのか!? よし、こうなったら」
苦しそうに追いかける私のほうを振り返った吸血鬼の少年が、こっちに聞こえるくらいの大声でそう言うと――。
突然彼の背中からコウモリの
いや、たしかにファンタジーの世界で吸血鬼は飛べるとは思っていたけど。
人の背中から黒い翼が生えるのを
「えぇ~!? そんなのズルいよ!」
「へへ、バ~カ~バ~カ~」
空中から見下ろしている吸血鬼の少年は、口から
せっかく
ヒールを脱いで、裸足で走って、足の裏が
全力で取り組んだことが水の
だけど、次の瞬間――。
私の頭の上を一本の矢が飛んでいった。
そしてその矢は、少年のコウモリの翼を
「うわぁ~!? 落ちるぅぅぅ!」
翼に矢が
「はあ~ついてきといてよかったっすよ」
私の後ろにはラビィ姉が弓を持って立っていた。
矢を一発放っただけで
「あっ! でも、また走り出しちゃったよ!」
地面に落ちた少年はまた逃げ出そうとした。
だけど、私の後ろにいたラビィ姉が、どういうわけか一瞬のうちに少年の目の前に移動していた。
「うちから逃げれる思ってんすか?」
そして、腰に
少年は、たった一発喰らっただけで、その場でのびてしまった。
「……ラ、ラビィ姉ぇぇぇ」
「よしよし、腕輪が
ラビィ姉は、抱きついてきた私の頭を優しく
その後、どうしてラビィ姉が街の中に居たのかを訊いたら、なんでもライト王に
「ラビィ姉、ありがとうございました」
「え~と、お礼の仕方……おかしかった?」
「いや、ビクニって、だらしくなくて
言われてみれば、こんな引きこもりでコミュ
いや、違う。
よく考えなくてもわかる……。
「お
「なんすか、ビクニ?」
「お婆ちゃんのおかげだよ……」
私は
早く元の世界に
でも、お婆ちゃんはきっと――。
「ビクニはやることはちゃんとやる子だからね」
と言って、あまり心配していないような気がする。
「そろそろお昼っすから一度城へ帰るとするっすか」
そう言って、
その言葉に大きく
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