第258話 エリザのオススメ
店通りに着くと、丁度、
「じゃあ、今日は三人で手分けして、早く終わらせよう!」
「「はぁ~い!」」
朝食後、僕とハルト、レティちゃんの三人で、村の店通りに来ている。
何を買うのかと言うと、明後日から向かう、王都までの食糧だ。
ユウマとメフィストは家でお留守番。
トーマスさんがニコニコしながら二人と遊んでいたから問題なし!
今日一日の営業分は、僕が朝食前からすでに二度買い出しに走って確保しているので大丈夫!
次は王都までの道中に皆で食べるご飯の分!
二日に分けて買う事にして、僕たち三人は今日の買い出し担当だ。
だって、今日だけじゃ絶対足りないからね……。
ちなみに、明日はブレンダさんも朝から手伝いに来てくれる予定だから、百人力だ。
王都までの牛乳とチーズ、生クリームは、ハワードさんの牧場に頼んでいて、いつもの配達分と一緒にダニエルくんが持って来てくれる。だってものスゴイ量になるから……。
フローラさんのお店で買う卵も、ダニエルくんが途中でお店に寄って持って来てくれるって! とっても有難い!
お店の仕込みはオリビアさんがすでに始めているので、問題なし……!
仕込んだ分が無くなったら、そのメニューは完売だ。
「じゃあ、レティちゃんとハルトは、二人でジョナスさんのパン屋さんに行ってくれる? 買う物はこのメモに書いてあるから、ミリーさんか他の店員さんにお願いしてね?」
「うん! だいじょうぶ!」
「ぼくも、だいじょうぶです!」
「重たいと思うから、ムリして一度に持たなくていいからね? また明日も買いに行く予定だから」
「「は~い!」」
二人にパンをお願いし、僕は野菜とお肉を買いに行く。
今日はローレンス商会からもお米や小麦粉なんかがたくさん届くから、その時にチョコレートの事も伝えておこう。
「エリザさ~ん! また買いに来ました~!」
「はいは~い! 待ってたわよ~! 今日頼まれた分はもう準備出来てるから!」
「ありがとうございます! えへへ、楽しみです……!」
「ふふ! 期待しててちょうだい!」
僕が何をそんなに楽しみにしているのかと言うと、エリザさんオススメの牛と豚のモツ!
先週、エリザさんとネッドさんがお店に食べに来た後、エリザさんは「美味しいお肉を勉強する!」と言って、閉店後は毎日夫のネッドさん、二人の息子さんと共に、魔物肉以外の処分するはずだった牛、豚、鶏、全ての部位をキレイに処理し、焼いて食べてみたそうだ。
最初は抵抗があったけど、二日、三日と試食を続けていくうちに、どんどんその旨味に嵌っていき、今はお客さんたちにその魅力を教えたくて仕方ないらしい。
心なしか、エリザさんもネッドさんもお肌がツヤツヤしている気がする。
「はい! お待たせ~! また明日も準備しておくから!」
「わぁ~! スゴイ! ありがとうございます!」
僕の前にドン! と置かれたのは、エリザさんオススメの部位の詰め合わせ。
絶対にすぐ無くなるから、明日取りに来る分も注文済みだ。
「あ、エリザさん、コレ! よかったら使ってみてください!」
「コレは? なんだか黒いけど~……」
僕がエリザさんに手渡したのは、焼き肉の漬けダレ。
お試し価格でお肉を安くしてもらったから、コレはそのお礼だ。ちょっと少ないかもしれないけど……。
「手作りのタレなんですけど、焼いたお肉に漬けて食べたら美味しいと思うので! もし気に入ってくれたら、明日もお渡ししますね!」
「ユイトくんが美味しいって言うんなら、そりゃ美味しいでしょ~? 明日も持って来て!」
「ふふ、ありがとうございます!」
エリザさんと奥にいるネッドさんにお礼を伝え、今度は青果店のジョージさんのお店へ。
「ジョージさ~ん! また買いに来ました~!」
「ハハハ! 今日は三回目だな! また昼過ぎにも来るんだろう?」
「はい! いっぱい買っとかないと足りなそうなので!」
「うちは大歓迎だけどな? あ、言われてた
「ありがとうございます! ユウマが喜びます!」
「ユウマくん、ホントに好きだもんなぁ~!」
マイスはトーマスさんも買ってくれてるんだけど、昨日の件もあって、ユウマが少しでも元気になる様に多めに買い込む事にした。
喜んでくれるといいんだけどなぁ~。
ジョージさんにもお礼を伝え、僕は待ち合わせ場所の店通りの入り口へ。
( 二人ともちゃんと買えたかなぁ~? )
そんな事を思いながら待っていると、何やら後ろが騒がしい……。
何だろう? と振り返ると、
「あ! おにぃちゃん!」
「ちゃんと、かえました!」
笑顔で僕に駆け寄ってくるレティちゃんとハルトの後ろから、人影がゾロゾロと……。
よくよく見ると、パン屋のジョナスさんを先頭に、警備兵の人や冒険者の人たちまで……。
もしかして……、見守ってくれてた、のかな……?
「二人ともありがとう! 重くない?」
「うん! だいじょうぶ! おもいの、はるくんもってくれたの」
「ぼく、いっぱいもてます!」
「ふふ、ハルト力持ちだもんね?」
「うん!」
二人と会話しながら、後ろで見守っている? 皆さんにぺこりと頭を下げると、満足気にフゥと息を吐き、どこか一仕事終えた感じで解散していく……。
本当に有難いけど、お仕事は大丈夫なんだろうか……?
ちょっとだけ、心配になってしまう……。
「さ、帰って仕込みしなきゃ!」
「わたしもおてつだいする!」
「ぼくも、します!」
「ホント? ありがと! 二人には何してもらおっかなぁ~?」
そんな事を話しながら、僕達は家路を急いだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。