第27話 コロッケとアヒージョ
今日の夕食は、三日前にご近所の方たちに貰った
困ったことにオリビアさんは僕の料理が食べたいと言って、先生と生徒の役割が完全に交代してしまった。
今現在、オリビアさんはアヒージョ用の野菜を切ってくれてます。
ポトフ用に、野菜くずで取ったスープを使う。スープは朝のうちに弱火でコトコト煮込んで冷まし、野菜くずをザルで濾したからたぶん美味しい出汁が出てると思う…。
熱したフライパンで鶏肉(美味しい魔物のお肉らしい……)をじっくりと焼き、そのフライパンにスープを入れる。炒めた油も旨みが出ているから、そのまま料理に使ってしまう。
鍋に切った
マイスのコロッケは、鍋でパタータを柔らかくなるまで茹でて水気をきり、皮を剥いてなめらかになるまで潰す。
バターと生クリームを加えて混ぜ、そこにマイスを加えて混ぜ、食べやすい大きさに形を整える。小麦粉、溶き卵、パン粉を順につけ、揚げ油にそっと入れていい色になるまで揚げれば美味しそうなコロッケの完成。横にトマトソースを添えておく。
ブロッコリは茹でて、食べるときにマヨネーズをお好みでかけるだけ。
マヨネーズは作戦会議の後に卵黄とお酢、油と塩を少し分けてもらって作ってみた。マスタードは無かったから、ある材料だけで試作。混ぜるのにすっごく時間がかかるから、今でも少し腕がだるい……。
混ぜるときは、ハルトとユウマも少しだけお手伝いしてくれた。疲れるからほんの少しだけね、と言ったら二人とも真剣に混ぜていた。
だけど本番じゃないので、この事は内緒らしい。
次はトーマスさんとオリビアさん用のマッシュルームとエリンギのアヒージョ。マッシュルームはそのまま、エリンギは食べやすくカットして、あらかじめオリーブオイルで軽くソテーしておく。
まずオリーブ油にみじん切りにした
ガーリクから細かな泡が出てきたら
完成した料理をテーブルに並べると、トーマスさんがアヒージョを前にそわそわしていて思わず笑ってしまう。
「お待たせしました! どうぞ、召し上がれ!」
「「「「いただきます(まちゅ)!」」」」
ハルトとユウマはマイスのコロッケをぱくり。
目をキラキラさせて、ほっぺを押さえている。
「おにぃちゃん、ころっけ、おぃしぃです!」
「ゆぅくん、こぇちゅき~!」
「ありがとう! ちゃんとよく噛んで食べるんだよ?」
「「はぁ~い!」」
二人がニコニコしながら食べているので癒されていると、その横でトーマスさんとオリビアさんは目を見開いていた。
「え? どうしたんですか? あ、お口に合わなか……」
「旨い……っ!」
「やだぁ~……! これパンにのせても美味しいわぁ~……!」
「なに……!? 本当だ、これも旨い……!」
アヒージョ……、気に入ってもらえたようで何よりです……。
ガーリクは匂いが残ると言ったけど、オリビアさんはそれよりも食べたいから、と黙々と食べていた。このアヒージョは魚介類で作るとすごく美味しいらしいとメモの内容を伝えると、二人は真剣な顔をして海に行くか相談してた。そんなに気に入ったんだ…。
ブロッコリのマヨネーズ和えは、僕の知ってるマヨネーズの味じゃなかったけど、皆たくさんつけて美味しいと食べていた。
用意していたマヨネーズが空になっている。
ポトフを食べながら、料理を気に入ってもらえて嬉しいと伝えると、トーマスさんとオリビアさんはユイトが作ってくれるから食事がもっと楽しみになったと言ってくれた。
その横では、ハルトとユウマがニコニコしながらコロッケを食べている。
それを見て、お母さんがいつもありがとう、と言って僕の少し焦がした料理を食べてくれたのを思い出した。
少しだけ鼻の奥がツンとなって泣きそうになったけど、僕はそれを笑って誤魔化した。
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