621. 絶対に笑ってはいけない市川ノノ2~3分


「ゆーて市川ってスベリキャラだよな」



 その日。なんの気無い瑞希の呟きが、放課後の談話スペースを地獄へと豹変させた……!






『れでぃーす、えーん、じぇんとるメーンッッ!!」



牛乳を口に加えた愛莉

(な、なにが始まるの……!?)


牛乳を口に加えた陽翔

(分からん……)


牛乳を口に加えた真琴

(なんでバケツ持たされるの?)


牛乳を口に加えた瑞希

(吹き出したら汚れちゃうだろ色々)


牛乳をちょっと飲んじゃった有希

(これ、You〇ubeで見たことあります! 笑っちゃいけないっていうのですよね!)


牛乳を口に加えた比奈

(みんなどうして意思疎通できてるんだろう……)


何故か既に笑いそうな琴音

(そういう比奈も参加しているのでは……って、私はいったい誰に向かって……)



『お待たせいたしましたっ! 市川ノノっ!! スーパー、イリュージョンショーーーーッッ!!!!』



危うく噴き出しそうな陽翔

「ごフォォ゛!?」


危うく噴き出しそうな比奈

「んむぶっ!」


まだ余裕のある瑞希

(ユニバで着てたサンタコスだ)


同じく余裕のある真琴

(どこで買ったんだろう)


状況を呑み込めない有希

(どうしてサンタさんの恰好……? 寒そう……)


段々冷静になって来た愛莉

(まさかマジックでもするつもりかしら)


もうギリギリな琴音

(つっ、つけ鼻……あの変なメガネはどこで買えるんですか……ッ!)



『えー……笑ってしまった方はぁ、えー……退場、して頂きます……尚、牛乳で制服が汚れた、市川ノノ狡い、可愛すぎる、寒くて足の小指が痛い、消費税が上がった……などといったクレームは一切受け付けませんのでぇ……どうぞ悪しからず~……』



ちゃんと声に出してツッコミたい陽翔

(後半関係ないやろ)


自分がしっかりしなきゃと思い始めた愛莉

(そのマイクどこから持って来たのよ)


余裕たっぷりの瑞希

(なにその大学教授みたいな喋り方)


何故か喋り方がツボった有希

「むうう!? んむうーーッ!?」



『では、まず初めに…………えー、挨拶代わりの一発ギャグをね、えー……やらせていただければなと、思うのですけれども……』



身構える陽翔

(や、やっぱりそう来るのか……ッ!)


身構える比奈

(最初に脱落するのは嫌だなあ。なんとなく)


身構える琴音

「ごふっ、ぐふ、んごぐふふふ……ッ!」


すっかり落ち着いてきた真琴

(まぁ芸人のパクリとかそんなところでしょ)



『では、失礼いたします…………「自分をしっかり持っていないグーチョ〇ランタン」』



ピンと来ない陽翔

(なに!? グーチョコ? なに!?)


余裕噛ましてる瑞希

(うわ、懐かし)


早くも飽きて来た真琴

(子どもの頃見てたなぁ……)



『うーん……どうすれば良いんだろう、分からないなあ~。うーん、どうしよ~。誰かに相談しよっかな~!』


『いや、やめとこう! 自分で考えよう! う~うう~うう♪ 自己は~~んだんっ☆』



有希

「ぶふうゥぁあーッ!!」


琴音

「ぶふうぅぅっ!!」


陽翔

(即落ち!?)


頑張って耐えてる瑞希

(あっ、あっぶねええええーーッ!!)


頬がプルプルしている愛莉

(いっ、意外と破壊力高い……ッ!!)


結構ギリギリだった真琴

(牛乳さえ飲んでなければこんなギャグ……!)


ダメージが無かった比奈

(ノノちゃん可愛い~~)



『スーパーっ、ギャグターーーーイムっっ!! 怒涛の7連発ッ!!』



顔を横にブルブル振る陽翔

(あのクオリティーがあと7回!?)


顔を横にブルブル振る愛莉

(無理ムリッ! 絶対耐えられない!!)


覚悟を決めた真琴

(そもそもなんで持ちネタがあるんだ……ッ)


噴き出したので端っこに移動した有希

(もう我慢しなくて良いからいっぱい笑っちゃおーっと!)


噴き出したので急に冷静になった琴音

(我々はなにを見せられているのでしょう……)



『数字のいっちは、な~~〜〜あに? 直線ッッッッ!!!!』グイーン‼



即落ち愛莉

「ぶるほあぁア゛アッッ!!」



『あっ、笑いましたね~! いけないんだぁ~怒っちゃうぞ~! こーら! おもちゃ! ハンバーガー! Oh,ハッピーセット☆』


『じゃーんけーんポン酢! 虫歯に染みるッ!!』


『ちょっと~! こんなに頑張ってるんですから応援してくださいよ~なんとか言ってクレヨ~ン、えんぴつ、色画用紙! おいら文房具屋さーん☆』ヘーイ‼



ゴリ押しに弱い瑞希

「ペはァ゛ァァ!!」



『でんでんでんでんでーんでーんでん♪ でーんでーんでんでーんでーん♪ 医療の現場は人手不足! ダブル心臓マッサージ!』クイックイッ


『これを持てば良いんですか? 分かりました! ぐっ、意外と重い! ぐぐぐっ! ふーん、ふーーん! ぬっ、ぬわあああああああああああァァァァァァ…………テトラポットごと持って~~♪』



純粋なクオリティに負けた真琴

「ぷへあぁっ!? ごほっ、ゴホッ……!」



『カチカチカチっ! カチカチカチ! 金メダル~と金メダルっ! ……吉田〇保里の悪ふざけ~~♪』カチカチッ



段々元ネタが分かって来た瑞希

(再現度高すぎる……ッ)


口元から牛乳が垂れ始めた陽翔

(無理……ホンマ無理ッ……!!)


一人だけ楽しんでる比奈

(すごいな~)



『仕方ありません、最終奥義を出すとしましょう……市川ノノっ、ハイパースペシャルイリュージョンショーーーーッ!!!!』



わき腹の変なところを攣りそうな陽翔

(まだっ!? まだ奥の手があるのか!?)


終始ニコニコの比奈

(さっきからイリュージョンではない気がするなあ)


端っこに移動して来た愛莉

(持久戦になって来たわね……)


バケツ一杯の牛乳を抱えた真琴

(全員落とすまで終わらないのか……)


楽しそうな有希

「あっはははっ!! ひっ、ひい、ひいいいい!!」


口直しに水を飲んだら有希に釣られた琴音

「ポウ゛っフ!!」



『もうここからギャグしかやらないんでね、しっかり着いて来てくださいね! 牛乳飲んだらもっかい並んでも良いですよ! 吹いたら退場してくださいね! 行きますよ!』



声に出してツッコミたい陽翔

(最初からギャグしかやってへんやろがッ!!)


めちゃくちゃ見られているので仕方なしに牛乳を口に加えた愛莉

(ハァー……アホらし……)


めちゃくちゃ見られているので仕方なしに牛乳を口に加えた瑞希

(元ネタ分かってるし次はイケるっしょ)



『って、ううぉっ! なになに!? キャッ! ちょちょ、おっとっと……ちょっと、この部屋ルンバ多くなァい!?』



即落ち愛莉

「ぷほぉオォ゛ォ!!」



『あ、今のギャグ素晴らしい! 素晴らしいです、ブラボー、ワンダフル! シッティングオベィション!!』パチパチパチパチパチパチ



即落ち瑞希

「ゴバァ゛ぁァ!!」



『っと、すみません一回立ちますね、っと、うぉっ、いった、あれ上手く立てな……あ~~足が震える~~…………子~~~~鹿っ♪』



限界に達した陽翔

「ヴルラは゛ァァ゛ァッッ!!」



ダッダッダッダッダッダッダッダッ!!!!



リベンジしたいので再び牛乳を口に加えた有希

(むっ? 足踏み?)


悔しくなって来たので再び牛乳を口に加えた愛莉

(ど、どこに行くつもり?)



『おっしゃああああああああああああ!!!! 今日で競歩引退だああああああああああああああああああああ!!!!』ダダダダダッッ‼



ウェアがビチャビチャな愛莉

「ゴはァ゛ァっ!!」


口に牛乳が残っていた陽翔

「プルはッ゛……ッ!」


楽しそうな有希

「ぷはぁぁ゛!! あっはははははは!!」



『……ッヒッヒッヒッヒッヒ……!!』



ハンカチで口元を拭く真琴

(今度はなに……?)


ハンカチで口元を拭く琴音

(なにかを……掻き回している……?)



『ヒッヒッヒッヒ……!! …………おせちグチャグチャだね!!!!』



比奈を除く全員

「ブハァァァァァ゛!!!!」


途中から趣旨を忘れて牛乳を飲んじゃった比奈

「面白かった~~」パチパチパチパチ


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