本編とは関係ないエピソードを雑に消化する番外編 その3

487. イ○スタで遊ぼう


「映えたい!! SNSで!!」


 そんな瑞希の一言により、フットサル部の練習は一時中断となった。下校時間まで残り一時間とかだし、切り上げること自体は問題無いのだが。



「なにするつもりや」

「○○チャレンジってゆーやつがあるんだけど、みんなでやってみたいなぁって」

「やってどうすんだよ」

「思い出作り」

「なるほど。不満は無い」

「いや止めなさいよアンタ」


 練習に熱の入っていた愛莉だけ怠そうにしていたが、渇を入れ直すわけでもなく従う辺りどうにもならない。


 というわけでスマートフォン片手の瑞希を中心にフットサル部プラス有希真琴の8人が集結する。

 これもフットサル部のSNSにアップされるんだろうな。顔出し嫌がってる瑞希と比奈とノノ以外に編集でモザイク掛けるの俺なんだけど。まぁいっか。楽しいし。




☆ペットボトルチャレンジ




瑞希「まずこれね。キャップの部分だけ回し蹴りで、思いっきりパーン!って」


比奈「わあ、カッコいいねえ」


琴音「この手の類は愛莉さんが適任でしょう」


陽翔「普段琴音にどう思われているかよく分かるな」


愛莉「あとで覚えときなさいよ」


ノノ「センパイ、ガツンと行っちゃってください!」


真琴「姉さん早くして。ノリ悪いよ」


愛莉「アンタにだけは言われたくないわよ!」


瑞希「よし、こーんな感じでセットして……ゆっきー、準備オッケー?」


有希「はいっ! 録画してますっ!」


比奈「愛莉ちゃん頑張れ~♪」


愛莉「ったく、仕方ないわね……! 言っとくけど、ペットボトル飛んで来ても自分で避けなさいよ! 手加減できないから!」


陽翔「外すの前提かよ」


愛莉「やったこと無いんだから分からないでしょっ! えーっと、この高さならこれくらいで……ほら、行くわよっ!」


ノノ「センパイのペットボトルチャレンジまでー! さーんにー、いーち!!」


愛莉「…………ドリャアアアアアアアアァァァァッッ!!!!」


瑞希「ううぉっ! すげえっ!!」


比奈「わーすごーい! ちゃんとキャップだけ飛んでったよ!」


琴音(相変わらず女性とは思えない身体能力ですね……)


ノノ「ほら陽翔センパイ、スローで見てみましょう! …………おーっ! カンペキにキャップだけ抜いてます!」


真琴「へー。結構イイ感じだね。蹴ってる瞬間の顔ヤバすぎるケド」


陽翔「大したもんやな……ほら有希もこっ……って有希!?」


有希「おっ、お星さまがぁ……っ」


ノノ「早坂コウハーーイッ!!!!」


瑞希「あちゃー……そっち飛んでったか……」


真琴「綺麗におでこ当たっただけまだマシだと思いますケドね……」


愛莉「うっそ有希ちゃん!? ごめんごめんごめん! 大丈夫っ!?」


有希「えへへっ……これが皆さんの後輩になるということなんですね……わたし、ちゃんと乗り越えましたっ!……………………ガクっ」


瑞希「ゆっきーーーー!!!!」


陽翔「お前部員失神させるの趣味なん?」


愛莉「んなわけあるかッ!!」


※行う際はキャップやボトルが人に当たらないよう十分距離を取って遊びましょう。




☆ストレートアームチャレンジ




有希「気を取り直して、次はこれですっ!」


真琴「年下に気ィ遣わせるのやめてよ」


愛莉「ごめんとしか言えない……」


比奈「怪我しなくて良かったねえ~」


ノノ「で、それなんですか?」


瑞希「んーとね。例えばな……ハル、それ取って。飲み掛けでいいから」


陽翔「またボトル使うのか」


瑞希「こうやって腕を伸ばして、肘を曲げないで飲む! そんだけ!」


愛莉「え、ムリでしょそんなの」


比奈「そうかなあ? 器用な人なら簡単に出来ちゃいそうかも……琴音ちゃん?」


琴音「えっ」


比奈「やってみよ♪」


琴音「えっ」


真琴「なぜ不器用の塊みたいな人を……」


陽翔「辞めとけってお前聞こえるぞ」


ノノ「比奈センパイ根がいじめっ子ですよねぇ」


陽翔「だから聞こえるって」


瑞希「じゃ、くすみん行ってみよーっ!」


琴音「わ、分かりました。やればいいんでしょう……こんなの朝飯前ですっ」


愛莉「あ、ちょっとストップ。瑞希、アンタもやりなさいよ。有希ちゃんの事故もとはと言えばアンタの責任でしょ?」


陽翔「都合よく解釈したな」


瑞希「え? あー、まぁそれもそーだな……じゃあミソギってことであたしもやるわ。なんかイケる気するんだよな~」


比奈「二人ともがんばって~!」


陽翔「じゃ、撮るで。ストレートアームチャレンジ、よーいスタートー」


琴音「がふっ、あぶおぼぶぶぶぶぶっ!!!!」


瑞希「ごぼぉッ!? ぼばぼぶぶぶぶっ!!」


真琴「ああっ! 恐れていた事態がっ!!」


陽翔「あー言わんこっちゃない」


ノノ「お嬢さーーーーん!!!!」


愛莉「だははははっはwwwwww!! ほらほらもっと角度付けて!! しっかりしなさい瑞希っ!!」


瑞希「あびぼぶぶぶばぼぼぼっ!!!!」


琴音「ごぶ、どぼうぶぶぶぬうぐぶぶ!!!!」


有希「あっははははっ!! すごいすごいっ、行けます、行けますよ先輩っ!」


陽翔「血も涙もねえなお前ら……」


比奈「すごーい! 滝が流れてるみたいだね~」


陽翔「悪魔や……悪魔がおる……」


ノノ「いや止めてあげましょうて」


琴音「あぶぼぼぼぼぼぼぼぼっっ!!」


瑞希「がぅっふッ! うぇっ、ゴホっ、ガホっ……………ぶりッ゛ッ!」


ノノ「お魚の?」


瑞希「ムリッッ!!!!」


※水は大切な資源です。その他の飲料水なども含め無駄遣いはせず本来の用途で使用しましょう。




☆チェアーチャレンジ


ノノ「びしょ濡れになった琴音センパイは着替えのため更衣室へ駆け込みました。ついでに外が寒すぎるので談話スペースへ移動した一行であります」


陽翔「誰に向かって話しとるんお前」


ノノ「さあ?」


瑞希「くしゅっ! あぁ~~さっむぅ……! 絶対この季節にやるやつじゃなかったわあー……うし、じゃあ次はこれな。チェアーチャレンジ。えーっと、女性なら簡単だけど、男じゃ絶対に出来ないんだって」


愛莉「どういうこと?」


瑞希「んーとね、どれどれ……足が女性より比較的大きい男性は、壁からより遠くに離れ、体を前屈みになると体の重心がズレて…………分からん!」


ノノ「これはやってみないことにはですかね」


真琴「出番だよ」


陽翔「でしょうね」


比奈「あっ、わたしもやってみたーい♪」


有希「なるほど! 比較対象? があると良いですね!」


ノノ(安全なの来るまで待ってましたねセンパイ……)


愛莉(こういう抜け目ないとこらしいわよね……)


瑞希「ほんじゃ二人とも、壁に頭つけて。そうそう、腰を90度曲げて……そのままな、そのまま! 市川イス取って! これを胸に引き上げて……」


比奈「こんな感じかな?」


瑞希「おっけー! で、そのまま身体を起こす!」


比奈「えいっ! わっ、できたっ!」


真琴「おー」


愛莉「これが男だと出来ないってわけね」


ノノ「センパイどうですか?」


陽翔「…………え? これ起き上がってええんよな?」


有希「わあっ。動けなくなっちゃうんですね!」


瑞希「ハル意外と身体デカいからなー、まぁムリっしょ」


愛莉「…………あら?」


陽翔「出来た」


ノノ「出来てる!?」


比奈「えー! すごーい陽翔くん!」


真琴「めちゃくちゃスムーズに起き上がったケド……」


瑞希「あれえ? おっかしいな……でもほら、この動画とか超苦戦してるし!」


愛莉「ハルトの身体がおかしいってことでしょ」


陽翔「んなアホな……」


ノノ「えー? センパイつまんないっすよー」


陽翔「どないしろっちゅうねん」


有希「…………廣瀬さん、まさか……ッ!?」


瑞希「ハルは女の子だった!?」


ノノ「山嵜高校女子フットサル部、爆誕っ☆」


陽翔「無理にオチ付けんでええて」


愛莉「意外とノリ良いわよね有希ちゃん」


真琴「だとしたらこの人たちの影響だよ」


※筋力や重心の位置で個人差があるようです。




☆ダクトテープチャレンジ



瑞希「気を取り直してー、最後はこれだぁ!」


陽翔「俺が悪いみたいな風潮なに?」


瑞希「ダクトテープチャレーンジ! 身体にガムテープをグルグル巻きにして、そこから抜け出す! 以上っ!」


愛莉「えぇー……嫌すぎる……」


真琴「動画を見た感じだと、服を脱いでやってる人が多いみたいですね。男ばっかりですケド」


琴音「なら陽翔さんですね」←着替えて戻って来た


陽翔「やだよ俺だって」


瑞希「えー? じゃあ誰がやんのさっ!」


ノノ「え? やりますけど?」


陽翔「マジかよ」


ノノ「この流れで身体張らないなどと、ノノのお笑いスピリットに反するのですっ!勿論ノノがやります! さあウェアを脱がせてください!!」


比奈「うんうん、そういうの大事だよねえ」


愛莉「持ち合わせたくはないプライドね……」


琴音「仮にも女性だというのにこの人は……」


真琴「突き抜けてるなぁ……」


有希「す、すごいっ、なんという勇気……!」


陽翔「間違っても参考にするなよコイツだけは」


ノノ「っと、流石にセンパイの前では着替えられませんねっ!目を瞑っていてください! 別に見られても困る貧相な身体ではありませんがッ!」


陽翔「普通追い出されるよな?」


愛莉「まぁノノだし……」


陽翔「納得してしまう自分が恐ろしい」



【準備完了だよ~ζ*'ヮ')ζ】



比奈「陽翔くーん。開けていいよー」


ノノ「ううぉぉっ……動けねえ……ッ!」


陽翔「ひっどい絵面やな……」


琴音「何故よりによってピンクの養生テープを……」


愛莉「これしか無かったのよ」


瑞希「変態プレイが好きなおじさんみたいだね」


有希「……プレイ?」


真琴「知らなくていいからそんなこと」


比奈「じゃあノノちゃんのダクトテープチャレンジまでー、さーん、にー、いち! スタート~~♪」


ノノ「ぬうぉァおおおおおオオ゛オオオオ゛ォォォ゛ォおおおおおおおお゛ァァァオオォ゛ォォォァ゛ァァァッッ゛ッッ!!!!」


瑞希「ぶっはははははwwwwww おらおらもっと行け市川ぁァっっ!! あっははははははwwwwwww」


ノノ「ぬウォオオォォ゛ォォォォ゛ォォッッ!!!! ぜんっっっっぜん取れね゛えええ゛えェェェェ゛ェェェェ!!!!」


比奈「ノノちゃんがんばれー!」


琴音「くふっ、ぅふふふふふ……っ!」


愛莉「うわーなんかもう色々サイテー」


真琴(やだなぁこれから散々身体張らされるんだろうなぁ……)


有希「ノノさんっ!ふぁいと、ふぁいとですよ!」


ノノ「ぜっっっったいムリい゛いいいィ゛ィィィ゛ィー゛ーッッ゛ッッ!!!!」


陽翔「……これ終わるのか?」


瑞希「あーマジクッソウケるわぁーっ……ッ! あー…………うん、よし。満足した。帰ろっか」


ノノ「ハィィィッ!?」


愛莉「そうね。この調子じゃ日が暮れるし」


琴音「お笑いスピリットというのはよく分かりませんが、市川さんが満足なら問題無いでしょう」


比奈「有希ちゃーん。一緒にご飯食べよー?」


有希「わぁっ! いいんですか!?」


真琴「兄さん、ホントにいいのあれ……?」


陽翔「構わん。任せておけ」


ノノ「ちょっとちょっと、マジで帰るんですかッッ!? せめて膝の拘束だけは外してくださっ……イッダアアアアアッッ!!!!」


真琴「あー……転んだらもう終わりだ……」


瑞希「おー。芋虫みたいだなっ」


愛莉「まぁ自業自得ね」


琴音「下校時刻までに外してくださいね、市川さん」


比奈「わー。琴音ちゃん容赦ないねえ~」


陽翔「だいたいお前のせいやぞ」


有希「ノノさんっ、わたし待ってますから! 頑張ってくださいねっ!」


ノノ「ちょっ、待っ――――――――」



※拘束を解かず峯岸先生に発見されるまで放置するのは危ないので辞めましょう。


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