第77話 追放者達の集い
リアの顔は真剣だった。間違いなく、本気で俺に、自分をパーティから追放シてくれと言っているのだ。
俺は黙ることしかできなかった。しかし、リアは俺のことをまっすぐに見てくる。
「……本気で追放してほしいと言っているんですね」
俺が確認するかのようにそう言うと、リアは頷いた。それを見て俺は思わず……小さく笑ってしまった。
「な、なんで笑うんだ?」
「あぁ……いえ……すいません。なんというか……リアはきっとそう言ってくるのだろうな、とある程度予想はできていたので……」
「そ、そうか……それで、私を追放してくれるんだよな?」
「……嫌です」
俺がそう言うとリアは驚いたようで目を丸くする。
「な、なんでだ? 私は……私の中には化け物がいるんだぞ? こんな危ないヤツと同じパーティにいたくないだろう?」
「……そうですね。たしかに、レイリアは非常に危険な存在です。ですが……そのせいでリアをパーティから追放するというのは違うと思うんですよね」
「アスト……お前……」
動揺するリアに、俺は易しく微笑みかける。
「それに……俺達は全員、追放された者なんですよ。そんな追放された者達の中からさらに追放者を出すなんて、悲しすぎるじゃないですか」
「しかし……また、皆を危険な目に合わせるかもしれないんだぞ?」
「そうなったら、また皆で止めるだけですよ。俺はそれでいいと思います」
「ウチもそう思うけどね~」
と、いつの間にか部屋に入ってきていたのか、ミラが相変わらずの呑気な表情でそう言った。
「み、ミラ……その……大丈夫なのか?」
リアは申し訳無さそうにそう言う。しかし、ミラは相変わらず呑気にニヤニヤしているだけである。
「まぁね~。一度死んでみるのもいいかなぁ、って思ったけど、優秀なヒーラーがそれを許してくれなかったんだよね~」
「当たり前でしょ、何バカなこと言ってんのよ……」
と、ミラの隣にはメルもいた。いつのまにかパーティ全員部屋に集合していたわけである。
「ま、私も別にいいわよ。誰かが死んでも何度でも蘇生させてみせる」
メルはミラとは異なり、その目には強い意志が浮かんでいた。
「み、皆……本当に……いいのか? 私はこのパーティにいても……?」
「何を言っているんですか。このパーティの勇者はリアなんですよ。勇者はパーティの中心ですからね」
俺がそう言うとリアは目の端に涙を浮かべながらも嬉しそうに微笑んだ。
「……そ、そうだな! よし! これからもこのパーティ……『追放パーティ』で頑張っていこう!」
追放パーティという言葉を聞いて俺とミラ、メルは思わず顔を見合わせてしまう。
「あれ……? 良い名前ではなかったか?」
リアが不安そうにそう言うのに、俺達は思わず苦笑いしてしまう。
「いえ……俺達にぴったりの名前ですよ」
こうして、俺達は自身らが追放された者達であり、その集まり……追放パーティであることを改めて認識したのであった。
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