第33話 家、来る?
それからリアは酔っ払うまで酒を飲みまくっていた。よほど、メルに負けたことが悔しかったのだろう。まるで、酔っぱらいたいかのように、どんどん酒を飲んだ。
で、結局、最後は俺がリアを背負って家まで送り届けるハメになってしまった。かといって、放っておくことなんてできないので、俺はリアをなんとか家まで送り届けた。
「……はぁ。大丈夫かな、リアは……」
……といっても、リアは意外と切り替えができるタイプだから、そこまで悩んだりしないと思う……というか、悩まないでほしい。
俺としてはむしろ、メルの方が心配だった。メルを見ていると……なんというか、昔の自分を思い出すようなのだ。それが俺にとっては辛い。
「ちょっと」
と、そんなことを考えていると、物陰から声が聞こえてきた。その声は聞き覚えのある声だった。
「こっち」
見ると、物陰から姿を表したのは、メルだった。
「メル……なんでここに……」
「どうせ、アンタならここに来るって思ってたから。酔っ払ったアイツを送り届けてたんでしょ?」
「え? あ、あはは……まぁ、そうですね……」
「……何? アンタ、アイツとそういう仲なの?」
「そういう仲って……どういう仲です?」
俺がそう言うとメルは大きくため息をつく。
「恋仲に決まってんでしょ? 付き合ってるわけ?」
「え……えぇ!? いやいや! リアとはそんな関係じゃないですって! まだパーティ組んでから日数も全然経ってないですし……」
「じゃあ、日数が経ったら、そういう関係になるかもしれないってわけ?」
「……からかわないでくださいよ」
俺がそう言うとメルは小さく微笑んだ。なんだ……それこそ、無表情な人かと思ったが、意外と笑ったりもできるんだな……
「まぁ、冗談はこれぐらいにしておいて。アンタ、今から時間あるでしょ?」
「え? ま、まぁ……もう寝るだけですけど……」
「じゃあ、私の家に来なさい」
「……へ?」
俺が理解できずにそんな反応を返すと、メルは苛立たしげに鋭い目で俺を見る。
「私の家に来る……いいわよね?」
「え……あ、あぁ……いいですけど……」
正直、完全に意味がわからなかったが、メルの勢いに俺はとりあえず、了承してしまった。こうして俺はメルに言われるままに付いていくことになってしまったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます