第27話 一難去って……
「アスト! それで……どうだった?」
部屋を出ると、ミラが扉の前で待機していた。
「え、えぇ……大丈夫そうでしたよ?」
「本当か? はぁ~……良かった」
心底安心したようにそう言うリア。ミラの本性を見た後だと、リアは裏表とかなさそうだなと思えてしまって俺も安心する。
「しかし……ミラは冒険に繰り出すのは当分は先か?」
「えぇ……残念ですが、すぐには無理でしょうね……」
リアの言う通りで、たしかにミラが参加できないとなると、またしても俺達は二人だけのパーティに逆戻りというわけである。
「……ま、まぁ、仕方ないな。また地道にゴブリンやスライムを狩るとしようか!」
リアは少し残念そうだったが、それを俺に悟らせないように元気よくそう言った。
リアには気の毒だが、たしかに今の俺とリアにはそれぐらいしか選択肢がない。
もっとも、少し無理をすれば低レベルクエストなんかには参加できるのかもしれないがそれでまたしてもリアが怪我をしてしまったりしたら、元も子もない。
「……そうですね! 頑張りましょう!」
俺がそう言うとリアも笑顔でうなずいてくれた。
そうだ……俺にとっていちばん大事なのは、このパーティにずっと所属し続けることなのだ。
リアには悪いが……今は強くなることよりも、パーティが崩壊しないこと、そして、このパーティが俺に対してクビを通知しないように振る舞う事が大事なのだ。
もっとも……リーダーである勇者のリアはそんな通告、してこなさそうではあるのだが。
とりあえず、ギルドから出て、俺達はまたいつものように同じ初心者御用達の狩場へ向かおうとしていた……その道中であった。
「ちょっと」
と、俺とリアの背後から声が聞こえてきた。俺達は同時に振り返る。
「あ……メルさん……」
見ると、ウチのパーティのヒーラーであるメルがそこに立っていたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます