第27話 一難去って…… 

「アスト! それで……どうだった?」


 部屋を出ると、ミラが扉の前で待機していた。


「え、えぇ……大丈夫そうでしたよ?」


「本当か? はぁ~……良かった」


 心底安心したようにそう言うリア。ミラの本性を見た後だと、リアは裏表とかなさそうだなと思えてしまって俺も安心する。


「しかし……ミラは冒険に繰り出すのは当分は先か?」


「えぇ……残念ですが、すぐには無理でしょうね……」


 リアの言う通りで、たしかにミラが参加できないとなると、またしても俺達は二人だけのパーティに逆戻りというわけである。


「……ま、まぁ、仕方ないな。また地道にゴブリンやスライムを狩るとしようか!」


 リアは少し残念そうだったが、それを俺に悟らせないように元気よくそう言った。


 リアには気の毒だが、たしかに今の俺とリアにはそれぐらいしか選択肢がない。


 もっとも、少し無理をすれば低レベルクエストなんかには参加できるのかもしれないがそれでまたしてもリアが怪我をしてしまったりしたら、元も子もない。


「……そうですね! 頑張りましょう!」


 俺がそう言うとリアも笑顔でうなずいてくれた。


 そうだ……俺にとっていちばん大事なのは、このパーティにずっと所属し続けることなのだ。


 リアには悪いが……今は強くなることよりも、パーティが崩壊しないこと、そして、このパーティが俺に対してクビを通知しないように振る舞う事が大事なのだ。


 もっとも……リーダーである勇者のリアはそんな通告、してこなさそうではあるのだが。


 とりあえず、ギルドから出て、俺達はまたいつものように同じ初心者御用達の狩場へ向かおうとしていた……その道中であった。


「ちょっと」


 と、俺とリアの背後から声が聞こえてきた。俺達は同時に振り返る。


「あ……メルさん……」


 見ると、ウチのパーティのヒーラーであるメルがそこに立っていたのだった。

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