第15話 覚醒の光
俺は急いでリアの元に駆け寄っていく。
「リア! 大丈夫!?」
岩の壁に大きな凹みができている。とんでもなく強い力で叩きつけられたことがすぐに分かった。
「だ……大丈夫だ……アスト……」
口から血が出ている。明らかに危険な状態であることは見れば分かった。
「喋らなくていいから! 早く逃げましょう!」
俺はなんとかリアを背負う。オーガは興奮しているのか、暴れながら周囲のものを破壊している。
今のうちに逃げてしまおう……そう思って出口の方へ戻ろうとした。
その時だった。
『ぐぉぉぉぉ!』
オーガが叫んだかと思うと、俺の頭上を何かが吹っ飛んでいった。どうやら、オーガが岩か何かを投げたらしい。
「うおっ!?」
と、その岩は見事に俺の目の前の天井に直撃し、天井が崩落……そのまま目の前の道は崩落してきた岩によって完全に塞がれてしまったのである。
『ぐあぁぁぁぁぁ!』
背後からオーガの叫び声が聞こえてくる。明らかに俺とリアを狙っているのが分かった。
どうする……? オーガを倒すか? いやいや……今の俺ではとてもオーガには敵わないだろう……
じゃあ、オーガの足元をすり抜けて更に奥の坑道に逃げるか? 確かに俺一人ならそれができるかもしれない……だが、今背中にはリアがいる――
「アスト……私を……置いていけ……」
そんな折に、掠れ声でリアは俺にそう言う。
「リア!? な、何を言って……」
「言っただろう……私は頑丈なんだ……逃げて見つからないように隠れていろ……私がなんとかする……から……」
そう言ってリアは意識を失ってしまったようだった。オーガはどんどん距離を詰めてくる。
なるほど……もはや選択肢はないようだ。覚悟を決めるしかない。
「そうですね……リア」
そう言って俺はリアを背中から下ろす。そして……腰元の剣を抜く。
「……俺がなんとかしますよ」
オーガは棍棒を大きく振り上げる。俺は剣を握る手に力を込めると共に祈った。
今、この瞬間だけ……この瞬間だけを切り抜ける力を、俺に……!
オーガの棍棒が振り下ろされる。それと同時に俺の銀色の腕輪が輝き、辺り一面を包み込んだのだった。
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