追放された俺が辿り着いたのは、追放者だらけのパーティでした。

味噌わさび

第1部 集う追放者達

第1話 仲間を求めて

「……またですか。アストさん」


 ギルドの受付嬢は嫌悪感全開の顔でそう言った。俺は苦笑いでそれに返す。


「あ、あはは……そうなんですよ……すいません……」


 なんとも俺も納得できなかったが、とりあえずは謝っておいた。


 俺の名前はアスト。これでも冒険者の端くれである。


 この世界の冒険者っていうのはそれぞれ職業というか、役割みたいなのものがある。俺の場合は戦士だ。戦士は切り込み隊長みたいなもので、とにかく、冒険者パーティーのアタッカーである。


 といっても、冒険者パーティーの主役ではない。主役は勇者というポジションがある。勇者はパーティーの主役であって、リーダーだ。戦士は勇者役のサポート役というか……中間管理職みたいなものだ。


 で、なんで俺がその冒険者の仕事斡旋所であるギルドで、受付嬢の人に怒られているかといえば……パーティーを追放されたからだ。


「……これで、二回目でしたっけ。普通いませんよ。二回もクビになる人」


「あはは……いやぁ……すいません……」


 今回俺がクビになった理由は、俺が使えないからだ。単純にモンスターを倒せない、弱い……パーティーにとって戦力にならないと判断されたからである。


 一度目も二度目も、「お前はいらない」と言われてクビになった……なんとも悲しい話である。


「……でも、まぁ、これで! 三度目の正直という言葉もありますし……」


「二度あることは三度あるという言葉もありますが……」


 そう言われてしまうと何も言えなくなってしまう。といっても、俺も生活がかかっている。なんとかパーティーを組んでもらわないと困るのだ。


 受付嬢はわざとらしくため息を付いて、そのまま立ち上がった。


「仕方ないですね……とにかく、適当にパーティーを組めそうな人を探しますけど……いいですか? まともな人と組めるとは思わないでくださいね」


 そういって受付嬢は行ってしまった。俺も思わずため息を付いてしまう。


 まぁ、あまり期待はしない方がいいだろう。受付嬢がああいっているというのは冗談ではあるまい。


「……といっても、どの程度の人によるんだけど」


 「まともじゃない」のレベルによるということだ。人外の人とか、まったくやる気がない人とか、戦力にならない人とか……って、戦力にならないのは俺も同じか。


 とにかく、今度のパーティーでは、俺がクビにならないようにしてほしい……そう願うしかない。


 もっとも、そんな願いは儚く打ち砕かれることになるのであったが。

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