「レッド・アイ ほのかとハヤトの場合」

新豊鐵/貨物船

第1話 「頼みごと!?」

「俺に頼みごとって珍しいな?」

「それで今度は一体、何をやらかしたんだ?」


「何よ、相変わらず質問の多い男ね・・・私、帰るわ!」


「おいおい、ちょっと待てよ」

「ここまで呼び出したのはお前なんだぞ!?」

「頼みごとが有るんならそれを言ってから帰ってくれ」


「あっそう、訊いてくれるんなら話してもいいわよ」


「何で俺がこんなとこまで来て、お前にお願いしなきゃならないんだよ!」

「お前が話すんなら俺が訊いてやってもいい、だろ!?」


「こんなとこに私を連れて来といてお説教なの?」


「あー、だから頼みごとを話して下さい」


「あっ、そうだったわね?」

「あなたに頼みごとがあるんだった」


「そうそう!」

「それを話してくれりゃ、すぐに終わるんだよ」


「せっかちな男は嫌われるわよ!?」


「また振り出しに戻るんかい!」

「なぁ、頼むからさっさと話してくれよ」


「私より先にあなたが頼んでどうするのよ」

「頼みたいと言ったのは私の方が先なんだからあなたの頼みごとは後にして!」


「はぁー?、ハイハイ」


「あなたは人を好きになったことがある?」


「えっ!?」

「何だそれ、好きな男でも出来たのか?」


「何だか嬉しそうじゃないの」

「好きな女が出来てしまったのね?」


「お前、手で顔を隠してるつもりなんだろうが笑い声が漏れ聴こえてるぞ!」


「私はただ、あなたに人を好きになったことがあるのかを訊いてみただけじゃない」

「連想ゲームなら誰か他の人と遊んで頂戴!」


「わかったよ、悪かったよ!」

「俺にだって好きになったことぐらいはあるよ・・・」


「それって誰のこと!?」

「いつから好きだったの?」


「お前、興奮し過ぎて顔が近いよ」

「それに・・・当たってるだろ?」


「えっ?」

「何が!?」

「何をそんなに赤くなってるの?」


「どうしていつもお前の話はそこで止まるんだよ」

「頼みごとってのを俺に話してくれて、俺が引き受ければそれで簡単に済むことじゃないか!?」


「それもそうね」

「それであなたは引き受けてくれる気があるの?」


「まだ何も話してないのに俺に地雷を踏めってのかぁ?」

「取り敢えず話を聞いてから考えるよ」


「私が話してから考えられるのは嫌なの!」

「引き受けるかどうかを先に答えて頂戴」


「わかったよ!」

「今までも全部、引き受けて来たんだから今回も必ず引き受けてやるよ!」

「それで頼みごとって何なんだよ?」


「私と付き合って下さい!」


「え?」

「えーっ!?」


「な、なに?」

「その驚き方はやっぱり・・・ダメなんだ」


「違うよ」

「喜んで引き受けます!」


「やったぁ!」


「だから近いってさっきから言ってるだろ!?」

「胸の膨らみが・・・当たってます」

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