コブ

坂本 ゆうこ

コブ

僕の右手には大きな「コブ」がある。このコブがあるから、僕は誰にも相手にされない。


そのコブ取ってやるよ。


大野からの提案だった。


今日の夜、公園集合な。


雨だった。しかし僕らは集まった。滑り台の下で、大野がナイフでコブを撫でる。


ごめん。俺、生き物を刺したいってずっと思っててさ。でもそんなことしちゃいけないだろ。だから我慢してたんだよ。俺謝るよ。親切心じゃないんだ。


二人だけの秘密ができることが嬉しくて僕は笑った。


大野が手とコブの境目にナイフを刺した。隙間から、緑色の液体が溢れた。僕たちはスライムかもしれないとはしゃいだ。


これ、記念にもらっていいかな。

いいけど、何に使うんだ。

俺のコレクション第1号だ。



大野が教卓に座り、僕のコブだったものを眺めている。授業中なのに、先生もクラスのみんなも、どうして注意しないのだろう。どうして誰も、コブがなくなった僕に気がつかないのだろう。

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コブ 坂本 ゆうこ @skmtyk-a

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