第4話 めっちゃ良い匂いだな

 ……ガチャ……


 兄貴の部屋のドアを開けると、俺が、朝起こしに部屋に入った時とは、全く違う匂いがしてきた。


(この部屋めっちゃ良い匂いだな! このままずっとこの匂いを嗅いでいられるよ……って俺は変態かよ)


 自分に自分で突っ込みを入れながら、少しドアを開けると、ドアの隙間からは汗臭い臭いなどせず、女子の部屋にでもお邪魔したかのようなとても良い香りが漂って来るでは無いか……。


(何て良い匂いなんだろうか……! 俺は今確実に天国にいるんじゃないだろうか……? まさか、リアルすぎる夢でも見ているのかな)


  思わず自分の頬っぺを右手で摘むと、思いきりギューッと抓ってみる!


「イッテー! ちきしょう!」思わず痛くて声が出てしまった。これが夢ではなく、現実に起こり得てる事なんだと、改めて実感した。


 俺は痛くて、目が覚めたのだろうか……深く、深呼吸している自分がいた……。


「一輝、何やってるのよ、早く入っていいよ、こっちはずーっと来るの待ってたんだからね」


「ごめんよ! 本当にごめんよ! 俺は変態ではありませんから……」


「えぇーっと、一体どうしたの? 一輝の事変態何て言ってないじゃない。急に焦っちゃって可愛いなぁー」


 思わず、ドアを少し開けただけで、此処は、別世界なのだろうかと思ってしまう程、とても良い匂いしていたので、俺は、思わずそのまま立ち止まってしまった……。


(良かったー。あっぶねー! 変態だって思われてんじゃねぇかって思ったぜ!)


「それにしても、この部屋いい匂いだよな!」


(やっべぇー、俺、何口にしてんだろ!)


「えぇー、そうかなぁ? 一輝どうしたの?何時も何処りじゃないのかな……何故部屋に入らないの?」


(何だよ! 自分じゃわかんないのかよ!)


 女の子って、一体どうなっているんだろうか、存在するだけでこんなにも良い匂いなんだろうか? 俺の頭ん中にはハテナが浮かんだ。


 我の家には今迄なかった、とても良い匂なので、俺は朝から癒されてしまっている。


(ぐへへ、こんなに癒されるなら、兄貴が女の子のままでも良いような気がするぜ!)


「あ、うん、今入るね……あれ、雪成の部屋が女の子の部屋になってるじゃんか……模様替えでもしたの?」


「別に何にもしていないわよ。一輝がいない間、つい二度寝してしまったんだけどね、目が覚めたら、こんな感じになっていたの。私も驚いているところよ」


 ドアを全部開けると、黒だったカーテンはピンクの花柄に、ベットの布団は茶色だったのに、薄いピンク色になっており、さっきとは全然違う女の子仕様の空間になっている。


 しかも、パイプハンガーにあった服も女の子物に変わっており、制服までもが、女子用ブレザーになっていた。


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