死の教育

㐂夕(たななばた)

1日目

ーー1日め。まずは、軽くジャブからです。




Q1.


 あなたが医師から余命半年と宣告されたとき、これから何をしますか?


 日常生活において何が変わりますか?




A1.


 僕は「日常」が好きです。


 できることならば、年老いるまでずっと「日常」が続けばいいな、と考えています。



 しかし、この「日常」というものは、潜在的に未来指向性を持つものです。


 「将来○○したいから、今をこう過ごす」といった指針や目標により、現在の「日常」が規定されています。



 さて、医師から余命半年と宣告されたとき、現在から半年以降の「未来」が奪われます。


 そして、「未来」が奪われるとき、それと同時に、未来に規定された「日常」も奪われてしまいます。



 僕の好きな「日常」が奪われたとき、僕はどうするのでしょうか。


 「日常」が奪われたとき、それすなわち「『自分』の未来」のために生きることが叶わなくなったとき。


 そのとき、僕はきっと、「『誰か』の未来」のために生きることを選択するのだと思います。



 友達、家族、自分の大切な人。


 彼・彼女らが、自らの死後の「未来」を歩むために、いまの僕にできることを考え、ひとつずつクリアしていく。


 それが、僕が半年を生きる意味になるでしょう。

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