中編 村での私
私はあんなことがあったおかげ? で、村では軽く神様扱い。
というか、小さな村だけあって、もう私のことを知らない人(魔人も)はいないほどだった。
だから、私が家の外に出ると、「我らの村の英雄様だ!」「素敵です。さすが聖女様!」「ああ、私達の村を救ってくださった女神様!」「ぼ、僕と、けけ、結婚してくんないかな....はぁ、はぁ」
そんな感じで、なんだかむず痒い。
たまにひざまずく奴らもいるからね。
てか、最後のやつあきらかにヤバいやつが混じってるでしょ!
まあ、そんなわけだから、私が外に出るだけで大騒ぎ。
自由気ままにお出かけすることもできない。
しかも、お店屋さんに行っても、
「聖女様にお金なんか払わせるわけにはいかないよー!」
とか言われて、基本的にただでもらえてしまう。
私、そういうのはちょっと申し訳なさ過ぎるんだけど!
で、そんな状況だから私は、困ってるには困ってるんだけど、嬉しいといえば嬉しい。
というか、気持ちはいいんだよね。
今までこういうことされたことないし。
というか、感謝されたことすらなかったからね。
何かしてあげても、それが当たり前みたいな感じで......。
まあ、そんな状況でもなんとか上手くやってたある日、問題は起きた。
「こちらに、疫病を救ったものがいると聞き、そのものに私達と来ていただきたい。」
そう言い放ったのは王国の騎士団の団長だった。
まあ、騎士団といってもいるのは団長と副団長だけだった。
もちろん、私は家の中に隠れてる。
「そのものと一度会いたい。案内してもらえるだろうか?」
団長はそう声をかけるが、誰も返事するものなどいない。
みんな、私の事情を知っているのだから。
団長はしばらくそう無視されていたが、団長は一人の魔人の女の子に近づき、その子を捕まえると、
「この
もちろん、村の人(魔人も)からは「やっぱりそうだったのね」「さすがクズだな」などと言われていた。
私は、仕方なく出ることにした。
「私が、この村を救いました」
「な、き、貴様がっ! 嘘をつくな! そんなわけがないだろ!」
「聖女様になんてことをいうんだ!」
「「そうだ! そうだ!」」
村の人(魔人も)たちは声を揃えてそう言う。
その声に腕の力が抜けたのか、魔人の女の子は逃げる。
私はそのまま団長に近づいていき、
「ねえ、団長さん。私に、何か、用?」
「そ、それは、その、疫病から王国を、救って、ほしい......」
いかにも渋々といった感じで私に助けを求める。
「ねぇ、今どんな気持ちなのか教えてくれない? あのとき私をハメたときにもいたよね? そんな私に助けを乞う気持ちって、どんな気持ち?」
私は団長なんかを助けるつもりなんて一切ない。
というか、あるわけがないよね?
だって、裏切られたんだから。
もう、遅いんだよ?
「と、とにかく、私達とともに王国まで──」
「やだ」
「これは王国直接の依頼だ。断ることなんてできない」
「それじゃ、連れてってもいいけど、私を信じるの? 助けてくれるって」
「そ、それは──」
「信じられるわけがないよね? だって、私には王国を助ける必要がないんだもん。私はね、今この村での暮らしに満足してるの。だから、邪魔、しないで?」
「と、とにかく、王国まで来い!」
「へぇ~、それじゃ別にいいよ。もう、遅いかもしれないけどね?」
私はそう答えた。
そして、ある程度準備を整えると一つの魔法を唱え始める。
そして、詠唱を終えると、私は団長の乗ってきた馬車に乗り込む。
そして王都に向けて走り出したのだった。
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