第6話 日常

 脈絡なく歌いだしたり踊りだしたりするミュージカルには、まったくリアリティーがないという人がいる。会社の同僚もそのひとりだ。


 彼にはぜひ一度、うちに泊まりにきてほしいと思っている。


 うちの子どもはいきなり歌いだす。

 奥さんもとうとつに歌いだす。

 そして踊りだす。


 リモコン片手に。

 おたまを片手に。


 どこかで聴いたことがあるようなないようなメロディーにのせて、歌って踊る。

 なんなら一緒に歌えとコーラスを求められる。


 日常で歌いだすやつなんていない。

 なんてことはないのである。



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