‪✝︎カオス・ワールド‪✝︎

タヌキ大臣

プロローグ

秋葉原の少し濁った青い空に、大きな穴が空いた。


«そらにあながあく»


厳密には『穴』では無いのだろう。

見方を変えれば色が変わってるだけのように見えるし、ホントに底が見えそうな穴にも見える。

人によってはブラックホールとも表現出来るであろう。


そして『穴』に対して全員が持った共通の認識は、


『深淵』


『深い闇』


そういったもの。


«そらにあながあく»


この『穴』はどんどん、広がっている。

やがては秋葉原だけでなく、東京全体、日本全体、もしくは世界全てを飲み込むであろう。



秋葉原自体も、『穴』が出来たのと同時期に発生した大型地震の影響でボロボロだった。

道路はひび割れ、標識やら電柱やら外壁やら、様々な物が歪んでしまっていた。



«そらにあながあく»


こうなったのは、全て、俺のせいだ。




そんな事を、『穴』を誰もいない街中のど真ん中で見ながら思う。




足音が近づく。

現れたのは、一人の男。




物凄く汚らしい、ホームレスのような格好の男。


男は俺に話しかける。

「そろそろ決意は固まったかな?」


俺はその問いに対し、頷く。


すると男は、

路地の方へ歩き出した。


「もう時間が無い。全ては、お前に委ねられた」


「後はお前次第だ」


冷たく、そして何処か寂しげな声色で男は言った。


«そらにあながあく»


男の後を俺は追う。



俺の過ちは、俺が正す。



この混沌に満ちた世界を



変えてみせる......。





そらにあながあく。









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