「始まり、そして旅立ち」1 休幕 ジョニー・ロングハート

その頃、ミシェルの家の武術館ではミシェルの父――ジョニー・ロングハートが、白いハーフスリーブの道着を羽織り黒いハーフパンツを履いて、彼を取り囲むようにして立つ三体の人形を前にウッドレイピアを構えていた。


「コォーー、ハァーー」


ジョニーは呼吸を整えると上段に構え、後ろを向き、そしてまた前に構え三体の人形を前に、レイピアを右手に長く持ち、左手を軽く曲げ、そして、


「セイッ!ヤアッッ!」


 かけ声を放つと、二秒と経たないうちに右手に持っているレイピアを体に付けるように前に出して左手でもレイピアを素早く掴み、両手で強烈な突きを左手にある人形の胴に放って、そのままの勢いで体を右に向けると右手にある人形の首の辺りに薙ぎ払いを放った。


 左手の人形は勢いよく武術館の柱に衝突し、右手の人形は首がへし折れるようにして床に叩きつけられた。


 ジョニーは二体の人形を倒すと中段に構え、左手を前に出し右手を下げて一呼吸置くと、


「――!!ハアッッ!!」


雄叫びを放ち、中央の人形の左胸に向かって凄まじい突きを放った。中央の人形はもの凄い勢いで武術館の壁にぶち当たると、布が破れジョニーの突きが当たった左胸辺りから重りの石がずざざざざぁっと溢れ出した。


「――人形が壊れちゃったか………ちょっと張り切りすぎたかな?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る