ヤンデレ育成を現実でしたら嵌められた

班目眼

プロローグ

第1話 現実はいつだってうまく行かない


※注意


性的表現多め、苦手な方はバックしてください


それでは本編です!


―――――――――――――――――――――――




出会いは突然だった。

主人公のことを愛している幼馴染。

段々と幼馴染の愛が狂気に変わってしまう。

そんなゲームだったと思う。


姉がプレイしていたゲームに興味を示した僕はどんなゲームかも知らず、手を出してしまった。



「出してしまった」


なんて、ヤンデレとの出会いが不幸だったかのような言い回しをしてしまったが、そんなことは微塵も思っていない。

俺が後悔している事は別のことだ。



小学生だった俺は、ヤンデレの登場するPCゲームには惜しむ事なく金を使った、そしてその魅力にどんどんとのめり込んでいった。



自分でもおかしいと思うほどの俺のヤンデレへの愛は、

さながら、俺がこれまでプレイしてきたヤンデレゲームに登場する女の子たちが主人公の男を死ぬほど愛しているほどに、大きく重たい愛だった。


それほどまでにヤンデレという、種族を愛していた


だから当時小学生だった俺は、突飛な発想をしてしまったんだ。

現実に、ヤンデレがいれば最高じゃないか!


これは俺の人生最大の過ちだ。



今考えると、不運なことに俺の周りには自然と美少女が寄ってきていた。理由は定かではないが、多分足が速かったからだろう。と考察してみる


小学生の間は足の速い男の子がモテていたから、俺もその部類だろう。


そしてまたも俺にとっては不運なことに、俺には超絶美少女の幼馴染がいた。


前世の俺が徳を積んだに違いないほど、幸運が続いてしまった。

ここまで、ヤンデレ育成を実行しやすい環境が揃ってしまった。


これは不運としか言いようがない、当時の俺は小学生だ。まともな判断を求めるのは間違っている。


そして、まともな判断ができていなかったから、

リアルでのヤンデレ育成なんてしでかしてしまったんだ。


俺が中学生になる頃には、ヤンデレ育成は成功してしまっていて、幼馴染、同級生、をヤンデレに仕上げることに成功していた。


その時にやっと俺は思い知った、ヤンデレはゲームの中だけで十分だと、毎秒半径1メートル以内にいることを強制してくる幼馴染、他の女と話すことを許さない同級生の美少女たち、当然のように俺を取り合っての修羅場だ。


そんな俺の中学校生活は灰色だった。

だからヤンデレにしてしまった美少女たちには、申し訳なく思いながらも、そいつらとは決別を決意した。


それが昨日のこと。


そして現在、大いに後悔している、

ヤンデレにしてしまった4人の美少女、そして幼馴染に、嵌められたのだから。





「貴方が、私たちを捨てるというなら、隠し撮りした、貴方の自慰行為の動画をばら撒きます」


「はっ?えっ?」


どうやって、動画を撮ったのか?


何故、自慰行為を見られていたのか、その他諸々の疑念は一旦放置し、だがそれと同時に


これが因果応報と言うのだろうと理解した。自分で蒔いた種が、突然変異して牙を剥きやがった。

いや、それは違うか、彼女たちの牙を凶器にできる状態にまでとがらせたのは俺なのだから。


自責の念に駆られながら、自分のオ◯ニーを見られていたという羞恥心をも今この状況下では捨てるほかなく、頭の中がカオスな状況だ、その状況で出せる精一杯の反骨心を幼馴染と、同級生に向ける。




「つまり、俺は脅されていると?お前たちにはめられたと?あははは!」




どうしようも無いこの状況でも強気でいられるのは、この状況も想定済みだったからだ。

さっきは、羞恥心によって冷静さを欠いたが、よくよく考えると


美少女たちの、スマホは俺が買い与えたものだから、全権は俺の手中だ。

だが、それだけならばここまで追い込まれた状況で冷静になれない、

もう一つあるんだ、俺には切り札が。

たとえ俺の動画がネットの海に流されたとしても、回収できる能力を持ったやつを俺は知っているから。


だから、彼女たちよりも俺は一枚上手だったといえるだろう。


彼女たちの作戦は失敗した。そのことを伝え、嘲るために俺は口を開く



「あははははは、すまないが、お前たちの作戦は失敗だよ!

俺のことを盗撮までしたのにな、あははははは」



精一杯の煽り文句だった。


だが彼女たちは俺の煽りに顔色一つ変える様子もなくただただ不気味なほどに

冷静に、


「あなたは何を言っているの?私たちの作戦がこれ一つだとでも?

あと、10個以上は用意してますよ?」


「ウソ…だろ?」


「ウソじゃないですよ!あなたとの交渉が一筋縄でいくとは私たちも考えていませんから。

……うふふふ」


幼馴染の不気味な笑い声が俺の意識を現実から遠ざけていく、他の同級生の美少女たちも、同じようなことを、口々に呟いている。



「せっかくですから、私たちが考えている作戦の一つを教えてあげます。私たちの考えている二つ目の作戦は、既成事実をでっちあげることです。

これは、あなたを本当に愛している私たちだからこそできる作戦ですよ」


「この際だから白状します。私たちはあなたの部屋に不法に侵入しました。

あなたの部屋に忍び込んで、三つの作業を行いました!

一つは隠しカメラを取り付けること、二つ目ははあなたの精〇を回収することです。最後はあなたのPCに入っている私たちのスマホを制御するプログラムを私たちの管理下に置くことです。」



あれ?詰んでね?


強気に出られた理由の一つをつぶされ。

こいつらならばしかねない、既成事実をでっちあげるという作戦。


もちろん嘘なのだから、弁解のしようは少しはある。だがこいつらが泣きながら

俺に行為を強制されたと言えば、たいていの人間は信じてしまうだろう。

そして、 >>精〇を回収した<< というパワーワード、検査をするときそれを使われれば

言い訳の使用がない、



ああ、神よ。

私の人生、これからヤンデレに管理されるのでしょうか?



答えてください神よ!


悦に浸っていると、神ではなく幼馴染が口を開き


「頭のいいあなたならば、この状況が詰んでると理解できるでしょう

これからも末永くよろしくね」


末長くだって?冗談じゃない!

恐ろしい、ヤンデレなんてもう望まないと後悔の念が俺の頭に渦巻いているとき

追い打ちをかけるように、俺に絶望を与えるためだけに

俺の目の前には、信じられない、信じたくない光景が現れた


今となっては俺の唯一の切り札だった、もしも俺の動画がネットに流れたとき解決できる唯一の人間が、ヤンデレサイドに現れた。

ひょこっと顔を出して、



「ごめんね。あなたのこと好きにしていいって、言われたから」



能天気な彼女は、それだけ言って笑みをこぼした。




「なん…で?お前もそっち側にいるんだ?」


純粋な疑問。追い討ちも追い討ちのこの状況をまだ理解できていなかったが、


俺の疑問には答えず、話の流れを強制的に変てくる幼馴染と同級生の美少女たち、



「さてさてさて。傷ついてるところ悪いですけど、私たちを捨てようとしたのですから覚悟はできていますよね?

私たちもこんなことはしたくないんです、でもしょうがないよね」



そんなことを言う彼女の手には、人気動画サイトが開かれた画面の写っているスマホがあり、あとボタン一つで俺の動画が流せるというところまで設定されてあった。


彼女が何をしようとしているのか、瞬時に理解した俺は


「や…やめ、てくれるよな?」


必死の説得を試みるが、画面をタップしようとする彼女


「やめろおおおおお」


彼女のスマホを奪おうとしたが、当然彼女の指のほうが俺の足よりも速く

画面はローディング画面へ移行した、まだ間に合うと思ったが現実は非情だ


”動画がアップされました”


時すでに遅し、間に合わなかった。

全身の力が抜け、膝から崩れ落ちてしまった、

そんな俺の姿を見てか、幼馴染は楽しそうに笑いながら、


「冗談ですよ。動画はもう非公開にしました

ですがこれであなたの立場が分かったでしょう?これまであなたは調教(育成)する側だったかもしれません、ですがこれからは立場が逆転します。私たちを愛してくれるまで許しません」



心臓が止まった、かと思った。

俺の動画は公開されなかった。

だがしかし、そのことだけに意識を向けていた僕は

この表現に違和感を覚えることができなかった。


僕が彼女たちでヤンデレ育成をしていたことをなぜ知っているのか、ここで追及するべきだった


だが僕は、そんなことは気にも留めず


飼い犬に手を嚙まれるとはこのことだな。


なんて、ただただ安心していた


そして、この場面が

これから始まる俺の高校生活が灰色になると決定した瞬間だった



これは

経験者からの助言だ、リアルでのヤンデレ育成なんてするもんじゃないぞ





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