カルペディエム

本編

　幼なじみの悠希ちゃんが道ならぬ恋に悩んでいるみたいだった。

　幼なじみなんだし、それくらいは僕にだって分かる。

　道ならぬ恋の相手が僕じゃないのはちょっと残念ではある。

　それでも、僕は僕なりに悠希ちゃんに助言した。

　何たって大切な僕の幼なじみだ。

　悠希ちゃんの幸せが僕の望みなんだ。

「ねえ、悠希ちゃん。誰が誰を好きになってもいいんだって僕は思うんだ。神様は何も禁止なんかしてないって思わない？　幸せになるのに思い悩む必要なんてないよ。たった一度の人生、悠希ちゃんは自分がしたい事をすればいいんだ。それが悠希ちゃんの本当の幸せに繋がると思うよ。頑張って、どんな選択でも僕は悠希ちゃんを応援するから」

　僕が助言してからちょうど一ヶ月後。

　悠希ちゃんは高校の担任の先生と無理心中した。

　悠希ちゃんにとって、それこそ自分が幸せになれる唯一の方法だったんだろう。

　いや、したい事をすればいいとは言ったけど。

　言ったけどさあ……。