利点07. 「弾倉がある」

 無課金ライト層思考鈍化型プレイヤーことStrawberryEater427、無課金ライト層思考停止型プレイヤーのImitationCat145の2人は机上で空論を交わしていた。


「【拳銃】と魔法の違い、【拳銃】と剣の違いは何かな、ピヨコくん」

「え? えぇと、【拳銃】は、弱い」


 ImitationCat145はここ数日で改めて認識を強めた事実を挙げたが、それは残念なことに、StrawberryEater427の望む答えではなかった。


「ふむ。言い方が悪かったね。

 結論から言えば、魔法は1発撃つごとに詠唱が必要。

 【拳銃】は時間経過で再装填リロードされれば、残弾の限り発射が可能。

 そして剣には弾切れがない、だ」

「やっぱり剣は強いですね」

 

 相対的に考えて【拳銃】は弱いですね、という言葉は飲み込む。


「考えてみたまえ、ピヨコくん。

 その装填された弾というのは、?」

「ええ? 仕様は知りませんけど、そういう変数じゃないですか?」

「ふふふ……ただのゲームならそうだろうね」


 StrawberryEater427の意味ありげな含み笑いに、ImitationCat145は不安を覚える。


「私は考えたのだよ。残弾は、にあるのではないかとね」


 そう言ってStrawberryEater427は、銃把の辺りを爪で叩いて見せた。


「【拳銃】の弾倉。つまり小さな火薬庫だ。このゲームにおける【拳銃】は魔力によって射出されるが、似たようなものだろう。

 これを【拳銃】で撃ったら……どうなると思う?」


 ごくり。ImitationCat145は唾を飲み込むエモートを起動する。


 結論から言えば、【拳銃】の残弾はそういう変数に格納されており、【拳銃】本体に弾倉のような部位はなく、当然ながら銃把を撃っても衝撃で【拳銃】が転がるのみであった。

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