第5話 あの場所へ。

 なだらかな坂を登ってマングローブのアーチの森の入り口までやって来た。

 昼食を食べて即ホテルを出たからまだ13時だ。

 少女が居るとは思えないけどここしか手掛かりは無いからね。


 気温と湿度が高いので少し動くだけでも汗が出る。

 加えて自転車を漕いだから後ろ髪は汗でビッショリだ。

 可能性が低い事にここまで一生懸命になるのは初めてかも知れないな〜。


 同じ自転車侵入防止の鉄のポールに半分お尻を乗せてもたれ座る。

 森からの涼しい風を受けて火照った体を冷やす。

 小鳥たちもお昼ご飯刻だろうか。

 姿も鳴き声も無い。


 想いの強い場所にまた来るのはそこで起きた過去の事象に想いを馳せるからな

 んだろうな〜と初めての心模様を自分で観察考察する。

 ふと見上げるとマングローブのアーチに小鳥の姿。

 〈チチチチ〉、〈チューンチューン〉、〈キィキィ〉と囀りも聴こえる。

 見渡すと色んな種類の小鳥たちに囲まれている。


 動物が寄ってくると想い出す。

 お母さんの言葉、「この子は優しいから動物が寄ってくるのよね」と誇らしげ

 に話していた。

 小さな事でも自分を誇らしく語ってくれるのも親ならではだね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る