葉桜の君に~ふたりの葉桜~

もりくぼの小隊

プロローグ

 西暦1990年四月。


 年若き高校教師「秋田あきた 葉太ようた」はひとりたたずむセーラー服の女子生徒に目を奪われていた桜舞い散る並木公園の前で深緑色しんりょくしょくのリボンで結わえた艶やかな黒髪が風に揺れている。気の強げな鳶色とびいろの瞳と彼の優しげな黒い瞳が交わった。胸の高鳴りは嘘をつかないこれが恋で無いのなら何を恋と呼べばよいのだろう。

桜色の竹刀袋しないぶくろを肩に添えて彼女は秋田に笑いかけなにかを呟いた。




桜の花弁はなびらが風に舞った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る