怪盗アルマゲスト

コール・キャット/Call-Cat

プロローグ


 孤児院で幼少時代を過ごした少年、アルマは自分を引き取ってくれた老夫婦の死を以ってしてその力を手に入れた。手に入れてしまった。



 ――『手品師』――

 それは、ほんの一握りの人間が手に入れる事が出来る、奇跡の力。

 悲劇の主役達に神様が与えた慈悲の力。

 または異能の力を振るう悪魔の子らに神が悲劇を与えたのだ。


 いまだ手品師についての論争は絶えない。しかし、悲惨な過去を持つ者にしか目覚めることがない力であるのは確かだった。

 それを授けたのが神様であろうが悪魔であろうが、当人達には関係のないことだ。


 これで僕は一人でも生きていく。

 これで私は復讐を果たす。

 これで俺は全てを思いのままにできる。

 これであたしは皆を守っていける。

 これでぼくは、わたしは、おれは――っ!


 その力に目覚めた者のほとんどが犯罪に手を染めた。

 いや、全ての者がそうであるとは限らない。

 しかし、彼らは弱いのだ。異能の力を振るえると言っても所詮は人間。

 人ゆえに浅はかで、弱く、脆く、儚い。


 これは、そんな暗いやみを彷徨い続ける、人々ほしぼしの物語。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る