第2章―戦いの砲火―9

「アザゼルは必ず俺が倒して見せる! もうこれ以上、戦争で俺達子供が犠牲になる時代は終わりにしなきゃいけないんだ…――!」


 胸に秘めた強い決意を口にすると、力強く前を見た。隼人は彼に近づくと、肩に手を乗せて話しかけた。


「ああ、そうだ……! これ以上の犠牲は俺達が食い止めなくてはならない! そして、この戦争と言う現状を変えなくてはならないのは、俺達の使命だ! 未来は大人ではなく、俺達子供が変えなくてはいけないんだ…――!」


 そう言って隼人は話すと力強く前を見つめた。2人の真っ直ぐな瞳には、揺るぎない志しと言う熱い炎が灯った。結人は立ち上がるとそこで2人を静かに見つめた。


 ガガガガガッ、ドーン!


 その瞬間、基地は地響きと共に大きく揺れた。結人は、突然の揺れに足下が耐えきれなくなり、その場で倒れて床に尻餅をついた。そして、情けない声をあげて痛がった。


「いったぁ~!」


 美岬は長椅子から立ち上がると、結人に近づき自分の手を差し出した。


「……まったく、本当に情けない奴だな」


「う~っ、だってぇ~」


 結人は情けない表情で言い返すと、美岬の差し出された手を掴んだ。それと同時に誰かが慌ただしく廊下を走ってくる足音が聞こえた。


 3人がそれに気づいた直後、一人の男が部屋に突然入ってきた。そして、慌てながら大きな声を上げた。


「だっ、誰か……! 誰かパイロットはいないのか!?」


 3人はその言葉に思わず唖然となった。帽子を被った整備士姿の若い男は酷く息を切らしながら話した。


「敵がもう近くまで迫っている! 誰でもいい、機体に搭乗出来るパイロットは速やかに俺とA―33のアビス格納庫についてきてくれ……!」


 その言葉がいかに上がただならぬ事態かを示していた。結人は思わず恐怖心から、美岬の後ろに隠れた。焦る整備士に隼人はそこで尋ねた。


「敵のタイプのドールアームズは最大で何種ですか!?」


隼人は敵のドールアームズの種類が何タイプかを聞くと、整備士は慌てた口調で答えた。


「人型飛行兵器のフェニックスと、陸系タイプの人型兵器アークⅡだ!」


 整備士の言葉に隼人は驚愕した。


「な、何っ!? アークⅡだと……!? アークの間違えじゃないんですか!?」


 隼人はその場で驚いた表情で聞き返した。


「敵は前のアークをアークⅡに改良したんだ! それも今までとは桁外れな程の威力と、パワーとスピードを兼ね備えた最新型にな。以前よりも、遥かに見た目も機能も性能も断然上回っている。アビスだけじゃ、アークには勝てそうにない!」


 そう言って整備士は血相をかくと、3人はその言葉に思わず息を呑んだ。

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