第2章―戦いの砲火―6
「2人ともやめないか! 今は戦闘中だぞ!? 少しは私語を慎みたまえ!」
2人がふざけあっていると壁際に寄りかかっていた少年が注意してきた。彼の見た目は、金髪と黒髪が混ざったメッシュのツンツンヘアだった。そして、長身で2人よりも背が高く雰囲気からにして真面目でしっかりしてそうな性格だった。
彼は眉間にシワを寄せると、不謹慎とばかりに怒った顔をした。金髪と黒髪が混ざった彼の名前は
「す、すみませんでした……! 隼人隊長、以後きおつけます…――!」
隼人は両腕を組むと少し呆れた顔で言い返した。
「やれやれ……。結人君には本当に困ったなぁ、いつまでも入隊部員の気分じゃ、困るよ。結人君には軍人としての自覚が足りないように見える。こんなことを言うのもなんだが、もっとしっかりしてもらわないと俺が困る……!」
そう言って隼人は呆れると、部下である結人に敢えてキツい一言を浴びせた。
「っ……!」
結人は隼人にその事を指摘されると、悔しくて思わず自分の唇を噛み締めた。その隣で美岬は、彼の話しを黙って聞くといきなり突っかかった。
「――だいたい戦闘中って、いつもの事じゃないですか。今さら特別な感じで言わないで下さいよ、隼人隊長」
美岬の生意気な言葉に隼人は頭の中かがカッとなった。そして、思わず感情的になった。
「なっ、お前もう一度言ってみろ……!」
隼人は彼の胸ぐらをグイと掴むと力任せに自分の方に引き寄せた。怒る彼とは違い、美岬はあくまでも冷静だった。そして、胸ぐらを掴まれると鋭い瞳で彼を睨みつけた。
「本当のことを言って何が悪いんですか?」
「何っ!?」
「じゃあ、隊長がこの争いを止められると言うんですか? 今さら始まってしまった争いを、俺達子供がここでいくら言い争っても事態は何も変わりませんよ。そう思いませんか、隼人隊長?」
美岬の鋭い言葉に思わず、隼人は握った右手の拳が僅かに怒りで震えた。 結人は、そんな険悪な2人のムードの中を割って入った。
「まあまあ、2人とも落ち着いて……!?」
その場で明るく話しかけると、やんわりと仲裁した。だが、2人は睨み合い今にも喧嘩しそうな雰囲気だった。一触即発しそうな状態に逆に空気が読めてない結人に対して、2人からの鋭い視線が突き刺さった。
突き刺さる冷たい視線に思わず苦笑いを浮かべると、部屋の中を何喰わぬ顔で徘徊した。ついでに嫌な空気が漂っているこの場の雰囲気を変える為に結人は必死で下手ながらも明るい口笛を吹いてみせた。
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